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「胸やけが・・・」「はい、PPI」・・・(?_?)

テレビのCMで『鉄腕ア○ム』が「その症状、逆流性食道炎じゃありませんか?」と言い始めてから、外来で同じ質問を受ける機会が多くなりました。今では、胃潰瘍の次くらいに有名な消化器の病気になったんじゃないでしょうか。ただこの逆流性食道炎、診察にはちょっとしたコツが必要です。経験したことのない人に『胸やけ』を説明するのって、意外に難しいんですよ(^_^;)

 

一般的に胸やけは、『胸骨後部や心窩部に感じる灼熱感、燃えるような痛み』と定義されますが、胸部および上腹部の痛みや不快感も、胸やけと訴えられる場合があります。2002年に米国で行われた2,477人を対象とした報告では、白人(34.6%)や黒人(53.8%)に比べてアジア人(13.2%)の胸やけの理解度は著しく低いとされています1)。また、本邦からは、胸やけが多様な症状として理解されていることや、健常人、GERD患者、医療者それぞれで異なった認識を持っていることが報告されています2)3)。漠然とした症状を訴えられる場合はもちろん、いかにも逆流性食道炎を思わせる症状を訴えられる場合も、有用性が確立している『Fスケール』(http://www.pariet.jp/helpful/fscale.pdf)を確認する必要があります。実際、胃食道逆流による胸部症状と狭心症などの虚血性心疾患の胸部症状に関しての複数のRCTが報告されていますが、冠動脈造影で異常があり狭心症発作を起こした症例に、胸痛出現時に食道内pHモニタリングと心電図検査を行ったところ、胸痛発作の約半数はST変化を伴わない胃食道逆流であったという報告や4)、逆流症状を訴えて受診した患者のうち、虚血性心疾患を除外した非心臓性胸痛は14.5%にみられたという報告などもあります5)。とにかく、『逆流性食道炎(非びらん性食道逆流症)の病名を告げるのは、狭心症を否定してから』です。

 

診断に関しては、以下の表に則って行います。

GERD治療のフローチャート

出展:日本消化器病学会編:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインXvii

 

治療に対するプロトンポンプインヒビター(PPI)の有効性に関しては、数々の報告があり今更言うまでもないでしょう。実際にH2-blockerとの比較試験でも有意差が出ていますし、狭心症が否定された胸やけ患者様に対するPPIの試験的投与も推奨されています。また、PPIへの反応が悪い場合の六君子湯の併用も、小規模なスタディですが有効との報告があります。その他、内科的治療に抵抗する症例に対しての腹腔鏡下逆流防止術なども広がってきています。

 

最後に患者さまへのアドバイス。エビデンスの確立している範囲で“するべきこと”“避けるべきこと”を書きますね(^-^)

 

○すべきこと

規則正しい食生活、ゆっくり食べる、減量、禁煙、ストレスの回避、左側臥位、ベッド頭側挙上

 

×避けるべきこと

激しい運動、チョコレート、炭酸飲料水、アルコールの過剰摂取、カフェインの過剰摂取、腹部を締め付けるような格好(ベルト、帯、ガードル、コルセット、前かがみの作業)、食事摂取後にすぐ横になる、右側臥位

 

1)     Spechler SJ, Jain SK, Tendler DA, et al. Racial differences in the frequency of symptoms and complications of gastro-oesophageal reflux disease. Aliment Pharmacol Ther 2002; 16: 1795-1800.

2)     河村 朗,野中 洋,八坂 成暁,ら.「胸やけ」についての検討.消化器の臨床 2003;6:231-234.

3)     Manabe N, Haruma K, Hata J, et al. Differences in recognition of heartburn symptoms between Japanese patients with gastroesophageal reflux, physicians, nurses, and healthy lay subjects. Scand J Gastroenterol 2008; 43: 398-402.

4)     Mehta AJ, de Caestecker JS, Camm AJ, et al. Gastro-oesophageal reflux in patients with coronary artery disease: how common is it and dose it matter? Eur J Gastroenterol  Hepatol 1996; 8: 973-978.

5)     Jaspersen D, Kuling M, Labenz J, et al. Prevalence of extra-oesophageal manifestations in gastro-oesophageal reflux disease: an analysis based on the ProGERD Study. Aliment Pharmacol Ther 2003; 17: 1515-1520.

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