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「安心のために」・・・て、誰の(´・ω・`)?

Nikkei Medicalの9月号で『その検査、ホントに必要?』という特集が組まれています。今年の4月に米国の主要学会がエビデンスに基づいて不要な検査・治療をピックアップし、『Choosing Wisely』という名前でキャンペーンを行っており、それを取り上げたものです。総合診療が目指す方向の一つが『検査に頼らず、病歴や身体所見から、必要最低限の検査を』という“お金のかからない医療”であるにも関わらず、諸外国に比べて安定した医療保険に甘えて検査をしてしまっている管理人にとっては、何とも耳の痛い、反省すべき内容です(^_^;) 反省の意味も込めて、今回は『腰痛』を扱ってみようと思います。

 

まず、このキャンペーンにおける『腰痛』のポイントは「画像検査は6週間たってから」というものです。その理由として「病歴や身体所見で特定の疾患や脊椎の異常がみられない腰痛では、単純X線、CT、MRIは臨床的アウトカムを改善させないばかりか、コストや患者の不安を増やすだけである」としています。実際の臨床現場でよく耳にする「安心のために、念のためレントゲンとっておきましょうね」っていう、“実は医者側の安心のため”みたいなセリフを根底から吹っ飛ばしてしまう内容です(>_<) 実際、腰痛の約90%は2~4週間で自然に軽快しますし、原因が整形外科的な軟部組織の傷害なら、4~6週間の保存的治療で改善すると言われています。

 

結局どうやってアプローチするかというと・・・緊急性の高い腰痛へのアプローチの仕方は、“『腰が痛い!』の落とし穴”をご覧下さい。ここでは、プライマリ・ケア医も知っておくべきよくある腰痛の特徴を挙げておきます。

 

1.脊柱管狭窄症

  • 50~60歳代/徐々に下肢痛が進行/「しばらく歩くと足が痛くなりますが、しばらく休むとまた歩けます」
  •  保存的治療。著しい歩行障害・麻痺・膀胱直腸障害で手術を考慮。

2.腰椎椎間板ヘルニア

  • 青年~壮年/軽度の痛みが持続していた/「床に落ちているものを拾おうとすると足が痛くなります」/「咳やくしゃみで足に電気が走ります」
  • 保存的治療。神経ブロック。症状が強いときは手術を考慮。

3.腰椎椎間板症(椎間板軟骨の容量減少による)

  • 慢性腰痛/「中腰が痛いです」/「座っているより立っている方が楽です」/「同じ姿勢を続けられません」
  • 急性期は安静。慢性期は筋力強化、コルセットの使用。

4.椎間関節症(椎間関節の消耗やかみ合わせの悪さによる)

  • 50歳以上/動き出しの痛み/「腰を伸ばすとお尻や足の付け根まで痛くなります」/「前かがみから腰を伸ばそうとしても急には出来ません」/膝から下の痛みはなし
  • 消炎鎮痛剤。椎間関節の神経ブロック。

5.変形性脊椎症(骨の加齢性変形)

  • 40歳以上の男性/坐骨神経痛(臀部から大腿部にかけての痛み)/「朝腰が痛くてしばらく起きられませんが、日中はたいして辛くありません」
  • 消炎鎮痛剤。牽引治療。コルセット。ストレッチ。

6.腰椎圧迫骨折

  • 閉経後の女性/「軽くしりもちをついただけなのに、身動きもとれないぐらい痛くなってきました」
  • 保存的治療。外固定。遅発性の麻痺が出る場合は手術を考慮。

7.腰椎変性すべり症

  • 40歳以上の女性/「どんな姿勢でも痛いです」/背中の骨の並びがスムーズではない
  • 保存療法。筋力強化。硬膜外ステロイド注入。神経ブロック。

8.腰椎捻挫(いわゆるぎっくり腰)

  •  「重いものを持ち上げたとたんに、急に腰がギクッとなりました」/魔女の一撃
  • 保存的治療。筋力強化。マッサージ。

 

診断がついたから「じゃあ、自分でフォローアップしようかな」なんて考えが頭をもたげますが、『プライマリ・ケアで腰痛をフォローすると回復が遅い』なんていうオーストラリアからの報告もありますのでご注意を。

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