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どこの科に行っても・・・

昨日『たけしの家庭の医学』に、当科の兄弟科である総合救急内科山中克郎教授が出演されました。「どこの科にいっても一向に改善しない原因不明の症状」・・・総合診療の外来はこんな方ばかりです。「出来ることなら全ての患者様の辛さを解決したい!」・・・もちろんそう思っているんですが、現実的には無理です。っていうか、おこがましい話です(^^ゞ でも、せっかく受診されたからには一つでも問題を解決したい。そのためには、出来るだけ沢山の“カード”を持っている必要があります。

 

今回の症例はまさにそれです。長く続くめまいを訴える若い女性で、最終診断が『胸郭出口症候群』。めまいを来す疾患のカードに『胸郭出口症候群』が入っていなければ、まず出会えない診断名です。ポイントをまとめておきますね。

 

  • ž胸郭出口部は、前・中斜角筋、鎖骨、第1肋骨で囲まれた狭い部分で、この狭い胸郭出口部を腕神経叢鎖骨下動脈・静脈が通過している。『胸郭出口症候群』は、これらの神経・血管が周囲の骨や筋に圧迫されることによって生じる神経血管症状の総称。

  • žなで肩の比較的若い女性に多いが、男性の場合は肩周囲の筋肉の発達した人に多い。手を挙げて作業をする仕事にもよくみられる。
  • ž狭窄部位により3つのタイプに分類される

1)頚肋および斜角筋症候群

第7頚椎の過形成、第7頚椎の出ている頚肋や結合織の増生による神経血管束の絞扼による。若いなで肩女性に多い。Morley test、Adson test陽性

2)肋鎖症候群

胸鎖間隙の狭小化に伴うもの。Eden test陽性

3)過外転症候群

上肢を挙上し過外転すると小胸筋が緊張し、この部分で神経血管束が圧迫されることにより起こる。Wright test、Roos test陽性

 

  • ž症状はとにかく多彩!頚や肩甲骨周囲コリ・痛み、背中の張り、上肢の痛み・痺れ・脱力感、手指の冷感・浮腫みなどの他、喉の圧迫感、前胸部痛なども認める(疼痛と異常知覚はほぼ必発)。吊革につかまったり、買い物袋をぶら下げたりすると症状が増悪。猫背や腕組みなどで、無意識のうちに肋鎖間隙を広げる体勢をとろうとする。
  • žさらに、長期間罹患していると、頭痛、めまい、吐き気、目のかすみ、耳鳴、不眠、胃腸障害、発汗異常など自律神経障害による多彩な症状も現れることもある。

<診察法>

  • Morley test:鎖骨上窩で腕神経叢を指で圧迫すると圧痛,前胸部への放散痛が生じる。
  • žAdson test:前斜角筋が緊張する頚椎の姿勢(疼痛側に頭部を頚椎伸展位で回旋)で深呼吸を行わせると鎖骨下動脈が圧迫され橈骨動脈の脈拍が減弱あるいは停止する。
  • žEden test:胸を張り,両肩を後下方に引くと橈骨動脈の脈拍が減弱あるいは停止すれば肋鎖間隙での圧迫を考える。
  • žWright test:座位で両肩関節を外転90°,外旋90°,肘90°屈曲位をとらせると榛骨動脈の脈拍が減弱する。肋鎖間隙での圧迫を考える。
  • žRoos test(3分間挙上負荷テスト):Wright testの姿勢(両ひじを90度曲げ、腕を90度外側に3分間あげる)で両手指の屈伸を3分間行わせる。手指のしびれ,前腕のだるさのため持続ができず,途中で上肢を降ろしてしまう。これは肋鎖間隙で腕神経叢が圧迫されることによる。また、上肢が蒼白になったり、チアノーゼ様になる。

☆こちらのページに写真付きの分かりやすい解説があります→http://kyoukaku.noor.jp/entry39.html

 

  •  頸部のレントゲン写真で、腕が下がることにより胸椎の1番まで追えたり(首が長く見える)、腕に引っ張られて鎖骨が水平になったりすることがある。
  • ž治療の基本は、症状が出たり強くなったりする姿勢を極力避けること。それと同時に、体操療法、温熱療法、マッサージ、姿勢矯正バンドなどの理学療法、薬物療法(NSAIDS、筋弛緩薬、ビタミンB12、抗不安薬)、ブロック注射など。日常生活を妨げる場合は手術も。

「何かこんな症状の人いたなぁ~。不定愁訴と思って帰しちゃった」なんて先生、いませんか?いいんです。次の患者様を助けてあげれば。みなさんも一緒に『ドクターG』を目指しましょう(^^)/

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