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「先生、モニターが・・・」に対応できますか?

 

1月19日、元横綱大鵬の納谷幸喜さんが『心室頻拍』で亡くなりました。V9時代の巨人とともに戦後の高度成長期の象徴的な存在で、当時の子供達の好きなものとして『巨人・大鵬・卵焼き』なんてフレーズもあったようです。もっとも、ご本人はアンチ巨人だったらしく、並び称されることを嫌っていたとか・・・。実は、横綱時代の24歳頃に本態性高血圧と診断され、現役を引退した37歳の頃には脳梗塞を発症と、その人生は病気との戦いだったようです。もちろん、管理人は大鵬の現役時代のことは全然知りませんが、その負けない取り口から『戦後最強の横綱』と呼ばれています。とにかく、ご冥福をお祈りいたします。

 kyoseiiku

 

今回の死因である『心室頻拍』はもちろん、病棟での「先生、モニターの波形がおかしいんですが・・・」にはしっかり対応出来なければなりません。もちろん、その波形をすぐ読影して診断がつけられれば何の問題もありませんが、それって結構大変ですよね。ただ、病棟での対応だけなら確定診断はなくとも大丈夫です。要は『どう動けばいいか』が分かっていればいいんです。ケアネットで有名な山下武志先生のレクチャーからポイントだけをまとめてみますね。

 

1. まずは3つに分類する(ただし不整脈のみの場合)

①放置する②自分の力で何とかする③緊急で他人に助けを求める

☆すべてはバイタルサイン!

・『脈拍数が正常』、『QRSが広くない(3mm以下)』ならとりあえず血行動態はOK!

『患者様の様子』、『心拍数』、『QRSの幅』は必ずチェック!

 

☆脈拍は5目盛りなら300回/分、10目盛りなら150回/分、20目盛りなら75回/分

 

2. 遅い不整脈をみたら

⇒回数じゃない!重要なのは“突然かどうか”(例えP-QRSが広くてもいつもと一緒でQRSも一緒ならとりあえず放置)

 

・P波はあるか?

(+)→心室の問題→ポンプが悪い→緊急!(1年死亡率は3割)

(-)→洞機能の問題→とりあえず大丈夫(患者さんの状態をチェック)

 

☆洞機能不全の1~2%しかA-V blockにならない(治療するかしないかは“患者様が困っているかどうか”

 

3. 早い不整脈をみたら

⇒やっぱり一番大切なのは“突然かどうか”

 

・とにかくQRSの幅を確認する

①QRS幅が0.12秒(3mm)未満なら⇒上室性(心房性)不整脈⇒ポンプは関係ない

②QRS幅が0.12秒(3mm)以上なら⇒心室性不整脈⇒ポンプの問題。ヤバイ!

 

・上室性の場合

①期外収縮(予想される時):放置

②頻脈(100~250回/分):ワソランで70%が改善(副作用は3~4%)、アブレーションで95%が改善(副作用は1%未満)するけど、まずすることは“安心させる”

③粗動(250~500回/分)/④細動(350回/分~)・・・厳密に分ける必要なし

 

☆Afを止めるかどうか・・・やっぱり症状があれば何とかする

⇒リズムコントロール?レートコントロール?

AFFIRM試験2つに有意差なし!(CIの発症はリズムコントロール群ではワーファリンの継続中止により発症したものが多く、結論として、高リスク症例では同調律維持がなされていても抗凝固療法を継続すべき)

⇒レートコントロール(ワソランなど)のほうが安全

 

・心室性の場合

1)期外収縮:何連発だろうが脈が早い訳じゃないからとりあえずゆっくり(あとで原因のチェックは必要)

CAST stady:OMI後の心室性期外収縮に対して抗不整脈薬を投与すると生存率はむしろ低下する(ただし正常心機能の人なら予後変化なし。症状があって困っていれば治療を。ただし完全に消す必要はない。①命に関わらないことを説明、②症状あればまず抗不安薬、③ダメなら抗不整脈薬)。大切なのはもとのMIの管理!(例:MI後にβブロッカーやACE-Iを飲むと突然死のリスクを下げる)

2)頻拍(100~250回/分)

意識がなければもちろんDC。意識があれば・・・リドカイン(ほとんど止まらない。10%程度)、アミサリン(リドカインより止まるけど血圧が下がる)、ダメなら寝かせてDC!

(原因不明なら埋め込み型除細動、特発性ならアブレーション)

3)粗動(250~350回/分)/細動(350回/分)・・・有無を言わさずDC!

 

☆R on T型心室期外収縮:前にあるT波の上に心室性期外収縮が生じたもの⇒Vfに移行することあり!(危ないのはT波の真ん中辺りに生じるもの)

 

ここまでやれればバッチリです(^-^) あとは専門の先生に格好よくコンサルトしましょう。「急性発症の心室性頻拍です。現時点ではまだ意識障害もなく、血圧も安定しています。一度リドカインを使用しましたが、止まりませんでした。今採血して心筋虚血の評価の採血結果を待っているところです。今後の加療につき御高診いただけませんか。」

 

sinndennzu

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