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「熱が出てます。あと、ブツブツが・・・」←ヤバイかも?!

いよいよ新体制がスタートしました!今年一年は、当科にとって大きな一年になると思います。頑張りますよぉヽ(^O^)/ このホームページも『救急総合内科/GIM部門』として再スタートします。今後ともよろしくお願いします。

さて、突然ですが、以下の疾患を丸暗記して下さい!

 

化膿性髄膜炎(特に髄膜炎菌髄膜炎)

劇症型レンサ球菌感染症

Vibrio vulnifucus感染症

劇症型肺炎球菌感染症

壊死性筋膜炎

SSSS(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome;ブドウ球菌熱傷様皮膚症候群)

TEN(Toxic Epidermal Necrolysis;中毒性表皮壊死剥離症)

Stevens-Johnson症候群

TSS(Toxic Shock Syndrome;中毒性ショック症候群)

 

突然失礼しました(^_^;) これ、何か分かりますか?救急外来を経験している2年目以降の先生方ならピンとくるんじゃないでしょうか?そう、“『発熱+皮疹』で絶対見落としてはいけない疾患”です。なにより、『発熱+発疹』をみたら、「何かヤバいかも?!」と思うセンスを持っていなければなりません。もちろん伝染性単核球症など健常人ではあまり重症化しない疾患や、全身性エリテマトーデス、Still病、Sweet病など専門的な治療介入が必要ですが、一分一秒を争う疾患ではないものも多いです。でも、上に示すような絶対に見落としの許されない疾患もありますので、『発熱+発疹』はオーバートリアージが許容される病態です。また、ここに示した疾患以外にも、重大な合併症を起こす感染性心内膜炎、重症化するとDICや中枢神経症状、循環器症状を起こす可能性があるツツガムシ病、感染対策が必要になる麻疹・風疹・水痘といった発疹を生じるウイルス疾患も、想起すべき疾患でしょう。

さて、これらのうち、最近当科に壊死性筋膜炎の患者様が入院されてきましたので、そのポイントをまとめておきます。もちろんデブリドマンが大切なのですが、ここでは内科的なアプローチを中心に。とにかく、皮膚感染症をみるポイントは“壊死性筋膜炎、ガス壊疽を絶対に見逃さないこと!”につきます。

・皮下脂肪組織と固有筋膜の間に存在する浅筋膜を炎症の場とし、急速に進行する壊死性病変。中高年の四肢や陰部に好発。激痛を伴う発赤腫脹や潰瘍と発熱などの全身症状。早期の抗菌薬大量投与と外科的デブリドマン。多臓器不全で死亡する場合もある

・皮下組織の深部に起こるため、発症は緩徐であるが、進行は急速。皮膚水泡を形成し皮膚、皮下組織の壊死をきたす(蜂窩織炎に類似した症状を呈し、初期には鑑別が困難なことがあるため経時的に症状を観察することが極めて重要!

・水泡形成していれば壊死性筋膜炎を強く考えるが、水泡がなくても壊死性筋膜炎は否定できない(水泡を伴うのは60%程度)

・白血球やCRPも鑑別診断には使えない

・蜂窩織炎は炎症により発赤している場所の疼痛・圧痛が著明だが、周囲には異常を認めない。それに対して、壊死性筋膜炎は浅筋層に炎症が及んでいるため、発赤部位の周辺をさわるとブツブツした感覚(握雪感に近い感じ)を触れることがある

・健常者ならA群β溶連菌が原因になるtypeⅡの場合もあるが、実際は黄色ブドウ球菌、溶連菌、大腸菌、嫌気性菌、Vibrio vulnificus、Aeromonas属などの様々な細菌により起こる。糖尿病患者などでは嫌気性菌が原因になりやすい

・特に壊死性筋膜炎の中でA群β 溶連菌によりTSS(Toxic Shock like Syndrome)をきたすものは劇症型A群β 溶連菌感染症と分類されている(「ヒト食いバクテリア」などと呼ばれている)。

創部の培養は通常行う必要はない。皮膚をこすると皮膚の常在菌が生えるだけ。ただし、A群溶連菌の迅速診断には小児咽頭炎診断用の溶連菌検出キットが有用との報告もある。

・通常、緊急に感染症内科と整形外科、あるいは外科のコンサルトが必要。起因菌が不明な段階でエンピリックにメロペネム1g ~2gを 8 時間ごと(1日量3~6g)か、イミペネム250~500mgを6時間ごと(1日量1~2g)を使用。クリンダマイシンを併用してもよい。起因菌が判明したら抗菌薬を狭め、例えば溶連菌が原因ならペニシリンGを用いる。

・毒素中和のための免疫グロブリンや高圧酸素療法の意義は臨床試験で確立されてはいないが、推奨する専門家もいる。エンドトキシン吸着療法は、TNF-α ,IL-6,IL-10,PAI-1などの炎症性サイトカインを低下させる効果があり、外毒素による敗血症性ショックにも効果あるとの報告もあるが、予後改善効果に関しての質の高いエビデンスはない。エラスポールが治療に使われることがあるが、十分なデータはない。

正直、あんまり出会いたくない疾患ですね(^_^;) 大切なのは、例え蜂窩織炎と診断しても、壊死性筋膜炎の可能性を考えて1週間は注意深く経過観察すること壊死性筋膜炎は治療に反応せず進行すれば急変の危険性があることをご家族に十分説明しておくことだと思います。

えしせいきんまくえん

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