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差をつけたければ『慢性疼痛』(^O^)b

今回のAカンファは『痛み』を扱いました。冷静に考えると、救急外来に来られる患者様の大部分は『熱い』か『痛い』なんじゃないか・・・そう思って、毎年Aカンファの最初にこのテーマを扱っています。・・・ちょっとは役に立ちましたか(^_^;)?

 

さて、レクチャーの概要は『『イタ〜い(→o←)ゞ』Aカンファ終了!』に書いてありますのでそちらを参照していただくとして、ここでは『慢性疼痛』を扱います。研修中はなかなか気づきにくいのですが、世の中は慢性疼痛で苦しんでいる方で溢れています。実際、2010年に行われた大規模調査では、日本成人の慢性疼痛保有率は約22.5%(約2300万人)で、そのうちの7割が適切な治療を受けていないと報告しています。また、7割の方が、やる気の喪失や精神的なストレスを感じているそうです。

 

慢性疼痛を理解しようと思うと、どうしても痛覚の伝導経路を理解していなければなりません。小難しくなりますが・・・。痛覚は、知覚神経節ニューロン(一次ニューロン)の自由終末の侵害刺激受容体で刺激を受け、AδやC線維を通り、脊髄後角で、ニューロを換え、新および旧脊髄視床路(2次ニューロン)を経て、視床に入り、さらにニューロンを換え、大脳皮質の知覚野に入り、痛覚として知覚されます。

痛みの経路

 

また、この経路とは別に下行性痛覚抑制系と呼ばれる痛覚の抑制系も存在し、中脳水道周囲灰白質を出て、大縫線核で中継され、脊髄後角で2次ニューロンを抑制しています。こに関与しているのがセロトニンノルアドレナリンの2つ経路です。

下行疼痛抑制系

 さて、ここまで理解した上で、『疼痛』を3つに分類してみましょう。

  • 侵害受容性疼痛:炎症や組織障害などにより生じたブラジキニンヒスタミンプロスタグランジン、セロトニン、サブスタンPなどの発痛物質による疼痛。局所の炎症によるPG類の産生を原因とするので、NSAIDSが有効であることが多い(PG類は主として、局所の炎症により産生され、知覚神経終末の痛みの閾値を低下させ、通常では痛みを起こさない濃度のブラジキニン存在下でも、痛みが起こるようにする)。
  • 神経障害性疼痛:視床痛、求心路遮断性疼痛、帯状疱疹後神経痛、脊損など中枢・末梢神経に損傷、機能異常がある場合。持続的な侵害刺激による疼痛に対する受容体の変調が2次ニューロンの過敏化を起こすことが原因。原則的にPG類の関与がないので、多くの場合NSAIDSは無効
  • 心因性疼痛:「痛みの原因がわからない」という意味で身体医がつける困った概念(本来は精神科専門医以外が付けてはいけない病名です(>_<))。

 

この中で、一般的に血液検査でひっかかってくるのはPG類が関与している『侵害受容性疼痛』だけです。帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経障害、坐骨神経痛、脳卒中や脊髄損傷に伴う疼痛などの『神経障害性疼痛』は原則的に検査の異常は認めません。また、『心因性疼痛』ではないにしても、慢性的な痛みにさらされ続けるとどうしても抑うつ状態になり、セロトニン・ノルアドレナリン経路による下行性痛覚抑制系の抑制が弱くなり、もともとの痛みを強く感じるようになり・・・どうしても漠然とした訴えが多くなってしまいます。その状態で困って病院を受診されるわけですが、そこで医者に「気のしすぎなんじゃないですか?!」みたいな対応をされて、ますます気持ちが落ち込み、下行性痛覚抑制がますます弱くなり、痛みが強くなり、さらに気持ちが落ち込み・・・最悪のスパイラルです。助けを求めて病院に来られている患者様に対して、負のスパイラルを加速させるような対応は、絶対に避けなければいけません

 

だめいしゃ こんな医者には絶対ならないで下さい!

 

慢性疼痛の治療については、また別の機会に書きますね(^-^)。

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