Home > ブログ > 藤田先生講演会

藤田先生講演会

本日、総合救急内科主催の勉強会がありました。講師は中部労災病院の藤田芳郎先生による『救急外来における輸液の考え方』でした。総合診療をやっていて良かったな~と思うのは、どんな内容の講演でも「何かの役に立つかもしれない」と思い、興味が湧くところです。

 

司会の山中先生も言われていましたが、藤田先生は腎臓を専門とされていますが、感染症やアレルギーに関しても専門医以上の知識を持たれている、スーパードクターの一人です。それにも関らず非常に物腰が柔らかく『実るほど頭を垂れる稲穂かな』を地でいかれる先生です。

 

講義内容は、Naを中心とした電解質の話でした。正直、管理人はこの手の話が苦手で、学生時代『睡眠導入率No.1アイテム』でした(汗)。しかし、藤田先生のお話は、アカデミックでありながら非常に分かりやすく、かつ非常に実用的な内容でした(もちろん寝ていませんよ(笑))。特に、『脱水(高Na血症)と水過剰(低Na血症)は細胞内液量を表すときに使う言葉で、Na過剰と脱Naが細胞外液量を表す言葉』という表現は“目からウロコ”でした。患者様の状態をこの4つの言葉の組み合わせで考えれば、複雑な病態も非常にシンプルになります。これ以外にも色々なパールを話されていましたが、それについては別の機会に述べたいと思います。

 

 

さて、今回は『救急外来における輸液』ということでした。クリティカルケアにおける輸液管理については、若手スーパードクターの一人、音羽病院の大野博司が書かれた『ICU/CCUの薬の考え方、使い方』に、非常に分かりやすくまとめられていますので、是非ご一読を。ここでは、研修医の先生に押さえておいて欲しい、超急性期の輸液についてまとめます。これだけ覚えるだけでレベルアップになりますよ。

 

急性期を4つの相に分けて考えること!

① 炎症・ストレス反応の極期での血管透過性亢進期の大量輸液⇒EGDT
② いったん血行動態が安定し、輸液負荷をせずとも現行の輸液量でバイタルサイン、循環動態、呼吸状態が安定する時期(プラトー期)⇒維持輸液
③ 炎症・ストレス反応改善時のサードスペースからの水が引ける利尿期⇒輸液を絞る、もしくは利尿剤の併用
④ その後の栄養療法(経腸栄養、経静脈栄養)での輸液(中心静脈栄養、末梢静脈栄養)

 

特に①~③の流れが重要。①積極的に輸液を行う時期なのか、②輸液を維持する時期なのか、③利尿を促す時期なのか、を常に意識する。治療開始時点でうっ血性心不全のためwet & wetな状態や、著明な心機能低下状態を除くと、輸液を『負荷』することが治療の大前提になります。

 

ここで重要になってくるのがEarly Goal-Directed Therapy(EGDT)の概念です。敗血症を代表とするSIRSの状態は、産生されたNOやプロスタノイドなどの血管拡張に伴う血流分布異常性ショックが初期の主病態ですが、心収縮力は経過とともに低下し、心原性ショックが具現化します。2008年に改定されたSurviving Sepsis Campaign guidelinesでは、この敗血症性ショック出現の初期における輸液療法をEGDTとして重視し、十分に心前負荷を維持することを推奨しています。

 

<推奨されているEGDTの輸液プロトコール>

・ショック出現後6時間までを目標に輸液を行い、初期到達目標としてCVP 8-12mmHg、平均血圧≧65 mmHg、中心静脈酸素飽和度≧70%を達成し、ショック初期から末梢循環不全を軽減するよう努める。
・輸液は晶質液であれば1~2 L/h、膠質液であれば0.6~1 L/hの輸液速度を目標として、6時間の初期輸液治療を重視する。
・ただし、盲目的な過度の輸液負荷は1)心負荷増大、2)肺内水分貯溜の増加と肺酸素化能低下、3)腸管浮腫と腹腔内圧増加、4)創処治癒の遅延など身体ストレスとなり得る点は十分注意する必要がある。

 

書き出すとキリがなくなりますので本日はここまで。Surviving Sepsis Campaign guidelinesに関しても、そのうち触れてみたいと思います。

Home > ブログ > 藤田先生講演会

メタ情報

Return to page top