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「被曝しますよ」・・・でっ(-。-;?!

先日救急外来をしていたとき、研修医の先生に質問されました。「12歳の男児なんですが、頭にドッジボールが当たったそうです。バイタルサインに問題ありませんし、神経学的所見も問題はありません。このまま帰宅でいいと思うんですが、母親がどうしても頭部CTをとってくれって。被曝の話もしたんですけど納得していただけなくて・・・」うん!患者様の真の利益を考えている研修医A君はエラいo(^▽^)o! でも、その優しさも、息子さんの心配をしているお母さんには伝わらないかも・・・。決めるのはもちろん患者様ですが、我々は少しでも正確な情報を伝える義務があります。

 

まずはこの図。放射線医学総合研究所の作成した『放射線被曝の早見表』です。胸部レントゲン写真1枚の被曝量は約0.05mSv程度ですので、「胸部レントゲン写真の被曝量は一年間で自然に被曝する量の30分の1です」という情報は、基本として押さえておきましょう(ちなみに腹部レントゲンは約0.4mSvですので約4分の1です)。

放射線被曝の早見表

 

CTに関しては部位によって随分違います。日立メディコの報告が利用しやすいので載せておきます。対年間自然放射線被曝は世界平均との比較です。

平均線量

 

さて、子供への被曝について。最近のBritish Medical Journalで、タイムリーな内容が載っていました。オーストラリアのメルボルン大学が、1985年から2005年に生まれた0歳~19歳の小児1,090万人に対して行ったコホート研究です。68万211人がCTを施行され、そのうちの3,150件が発癌しており、これはCTを施行されていない群より24%高い発生率です。また、発症率比は一回撮影されるごとに0.16ずつ上昇し、これは1~4歳で1.35、5~9歳で1.25、10~14歳で1.14、15歳以上で1.24と、年齢が若いほど上昇すると報告しています。

 

Mathews JD et al. Cancer risk in 680 000 people exposed to computed tomography scans in childhood or adolescence: data linkage study of 11 million Australians. BMJ. 2013 May 22;346:f2360.

 

2012年6月のLanetでも若年者のCT検査に関しての報告がありました。1985年~2002年の間にイギリスでCTを受けた22歳未満の約18万人が対象になっている大規模なスタディなんですが、頭部への照射2~3回で脳腫瘍になるリスクが3倍5~10回で白血病のリスクが3倍になると報告しています(ただ、いずれのがんも、もともとの発症率が低いため、過剰な心配はいらないと結論付けています)。

 

冒頭の親御さんには「頭のCTは日本で普通に暮らしていて、だいたい2年分の被曝量になります。1回程度の検査なら基本的に問題ありませんが、2~3回撮ると、発癌リスクが上がると報告されています。特に年齢が若いほど発癌率が上がると言われていますが・・・どうしますか?」という説明が必要になるわけです。参考までに(*^-^*)

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