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めまいと戦う“三本の矢”

『めまい』って本当に難しいですね~。以前もこのブログ(『めまい』=『メルクマール』?)で取り上げましたし、“『めまい?』のアプローチ”なんて表も作ってみたんですが、この“?”が付いてしまうところが、めまい診療の難しいところです。色々な症状を『めまい』と表現されることがあったり、症状の強弱と緊急性の相関があまりなかったり、加齢性の変化でも起こってくることがあったり。出血や梗塞といった、見て分かる異常が出ることが少ないのも悩ましい所。数少ない他覚的所見である『眼振』も、「これ生理的な眼振だよね・・・自信ないけど(-。-;」みたいなことばかり・・・。でも、やっぱり大切なんで、“一本目の矢”は『眼振』です。

 

こんな分かりにくい『めまい』ですが、専門誌『Stroke』(2009; 40: 3504-10)では、Acute vestibular Syndrome(AVS)の患者の中枢性と末梢性の鑑別に有効な3つの診察法を提唱しています。激しい回転性めまいに眼振、嘔気、頭位変換不能、歩行障害を伴ってERを受診し、1つ以上の心血管系のリスクを持つ101名(脳梗塞76名、末梢性25名)を対象としたスタディです。

 

①   方向交代性眼振(梢性ならば眼振は一方向性になる)

②   skew deviation

③   head impulse test(HIT):中枢性ではHITのvestibulo-ocula-reflexは正常

 

②のskew deviationは、左右の前庭神経のバランスが障害され、垂直方向の眼球変位が起こるというもの。また、眼球位置を合わせようと、頭位を傾ける場合も陽性です。

 

SD

 

今回のポイントは③のhead impulse test(HIT)です。検者は被検者の前に立ち、検者の鼻を注視してもらいながら、その顔を15°程すばやく水平方向に回転させます。末梢性の前庭神経障害がある場合、頭をすばやく水平方向に回転させると鼻を注視することができず、遅れて眼位が戻ってきます。

 

 

 

この試験はもともと、前庭神経炎や迷路炎といった激しい回転性めまいをきたす疾患に対しての診察法だったのですが、AVSの患者でこのテストが陰性であればそれは中枢性を示唆できるというなんとも有難い報告をしてくれました。ただ、このテストはあまり特異度は高くないようです。また、後下小脳動脈と上小脳動脈の病変に対しては高い感度を持っているようですが、前下小脳動脈の病変に対してはあまり有用ではないようです

 

ちなみに、前出の『Stroke』では①の方向交代性眼振、②のskew deviation は、末梢性前庭神経障害に対して90%以上の高い特異度を報告しています

 

ぐるぐる

ぐるぐるめまいに対する“三本の矢”の使い方

 

1つずつの診察方法では有意な感度・特異度の報告はありませんが、これら3つが陰性ならば中枢性に対して感度100%、特異度96%との報告があります。やっぱり、一本ずつでは折れてしまう矢も、三本束ねれば強くなりますね(^-^)

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