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プロカルシトニンは無敵?

当院でも、最近プロカルシトニン(procalcitonin(以下PCT))がよく測られるようになりました。「原因分からないなぁ。特にフォーカスになりそうな所見もないし・・・あ、PCTが上がってるじゃん。Sepsisでいいんじゃない?」・・・こんな会話が当たり前になりつつあります。そんなもんなのかな~・・・では終わらせられないないんで調べてみました。

 

PCTは、116個のアミノ酸から成る分子量 13kDaの蛋白で、甲状腺のC細胞において生成されます。PCTは正常ではカルシトニンに変換された後、甲状腺から分泌されてカルシウムの調整に関与します。この場合のPCTは甲状腺内で代謝されるため、血中PCTは<0.05ng/mLと通常は低値です。しかし、感染の存在下では甲状腺外(肺又は小腸の神経内分泌細胞が生成部位 とする報告や、血液の単核細胞がPCT生成の重要な細胞の一つであるとの報告あり)でのPCT産生が起こるため、感染症のバイオマーカーとして注目されています。

 

敗血症との関連が初めて報告されたのは1993年のLancetで、そこで①重症敗血症で大きく上昇すること、②局所感染での上昇は軽度であること、③ウイルス感染症での上昇は軽度であること、④治療が奏功すれば低下することなどが、既に報告されています1)。

 

臨床現場でよく使われているCRPの反応時間が6時間、半減期が4~6時間なのに対し、PCTの反応時間は2~3時間、半減期が20~24時間である上、血中での安定性に優れているため、初期から急性期にかけての有用なバイオマーカーになり得ます。

 

国内で行われた前向きコホート研究では、敗血症に対してのカットオフ値を0.5ng/mLとした場合の感度64.4%、特異度86%であり、カットオフ値を2.0ng/dLとした場合の感度は34.4%、特異度は97.7%になると報告しています(CRPはもちろん、エンドトキシンやIL-6よりも好成績)2)。さらには重症度を反映するだの、真菌感染では中等度の上がりだから、補助的な診断に使えるだの、報告はどれもポジティブなものばかり。一応、ネガティブなポイントとしては、以下のような疾患がPCT上昇を示します。

 

<PCTが上昇する疾患>

・全身性炎症反応を示す細菌感染症(特に腹膜炎、髄膜炎、広範軟部組織感染症)
・敗血症(新生児も含む)、MODS
・全身性真菌感染症(candida, aspergillus)
・寄生虫感染症(malaria)
・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
・膵炎(胆管性)
・大手術(食道切除術など)

 

それでもやはり、今時代はPCTに追い風がビュンビュン吹いているみたいですね。多分、今後どんどんネガティブな意見が出てきて「PCTなんて参考にしてたらダメでしょ」みたいなCRP現象が起こるんじゃ・・・。

 

1) Assicot M, Gendrel D, Carsin H, et al. High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection. Lancet 1993; 341: 515-8

2) Aikawa N, Fujishima S, Endo S et al. Multicenter prospective study of procalcitonin as an indicator of sepsis. J Infect Chemother 2005; 11: 152-9.

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