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フィードバックの連鎖

『臨床研修指導医講習会』に行ってきました。昨年は受講者として参加したのですが、今年はスタッフ(タスク・フォース)としての参加です。教授・准教授の先生方が参加される講習会なので・・・恐縮しきりです(-.-;)

 

この講習会、泊り込みで丸2日間に渡り行われたのですが、ほぼ全てがワークショップ形式で行われるため、受講者にとってはかなりハードなものです(ま、講義形式の2日間の方が辛いか(^^;))。でも、受講するに足る、非常に有意義な講習会だと思います。何より、指導医と研修医が『クタクタになるまで研修医指導について考える』って機会を持てたことが良かったんじゃないかと思います。

 

 こうしゅうかい

 

研修指導医講習会

 

今回、管理人が担当させていただいたのは『臨床研修指導医のあり方』というブースです(多くの先輩を差し置いて何を偉そうに・・・て、自分でも思っているんで許して下さい(´・ω・`))。 その中で、指導医はもちろん研修医の先生にとっても役にたつ情報があったので紹介します。

 

例えば、研修医の先生が「みぞおちの痛みの患者さんなんですが、多分胃腸炎だと思います」とコンサルトしてきた場合、どのように返すのが良いでしょうか?「じゃ、PPI出して、明日かかりつけ診療所に行ってもらおう。」・・・どう思います?多分、これでも大きな問題になることは少ないと思います。実際、こんな対応がされていることも多いんじゃないでしょうか。でも、これじゃあ、コンサルトしてきた研修医の先生には何も残らない『一方的で狭い指導』です。まったく“フィードバック”がありません。「食事との関連は聞いてみたかな?それに、心窩部痛の場合は下壁の心筋梗塞の可能性もあるよ。心血管系のリスクファクターの確認はしてある?」――これなら、この研修医の先生も、次に来る(かもしれない)心筋梗塞を見落としませんよね(^-^)

 

つまり、臨床教育には“フィードバック”が必要なんです。

 

では、効果的なフィードバックはどうやってかければいいのでしょう?その方法の一つとして今回取り上げたのが『Five Micro-Skills』です。これは、もともと米国の家庭医療専門医の雑誌に掲載された教育技法で、少ない時間のなかで研修医勉強と診療を両立させるための方法です。こんな手順で行います。

 

  1. Get a commitment(研修医の考えを聞く):「先生はどう考える?」
  2. Probe for supporting evidence(研修医から根拠を聴く):「なぜそう考えたの?」
  3. Teach general rules(一般論を示す):「ここで大事なことは・・・」
  4. Reinforce what was done right(できたことをほめる):「特に・・・は良かったね」
  5. Correct mistakes(間違いを正す):「今度は・・・しようね」

 

3~5の順番はケースバイケースで結構です。先程の例に当てはめるとこんな感じ。

 

  1. Get a commitment:「みぞおちの痛みで、胃腸炎だと思います」
  2. Probe for supporting evidence:「食事摂取で症状が増悪します」
  3. Teach general rules:「心窩部の痛みは下壁梗塞の可能性も考えなきゃね」
  4. Reinforce what was done right:「食事との関連が聞けたのは良かったね」
  5. Reinforce what was done right:「心血管系のリスクは確認した?」

 

ここまでスムーズにできることは、なかなかないかもしれませんが・・・。

 

最後に、効果的なフィードバックのかけ方を上げておきます。

 

  • 良かった場合は皆の前で、悪かった場合は個人的に
  • まず“褒める”が基本(Positive→Negative→Positive
  • 指導医が“どう感じたか”を伝える
  • 場所と時間を考える:時間と場所は指導医がつくる
  • 出来るだけ速やかに行う:鉄は熱いうちに打て!
  • 多くのフィードバックを行わない:基本は一度に一つ
  • 一般化しすぎない:人と比べない
  • 具体的な行動にも言及:人格批判にならないように!
  • 具体的な改善策を提案する:実現可能なものを

 

一人の医者が診られる患者様の数には限りがあります。でも、もし貴方が100人の研修医に指導を行い、その研修医達がそれぞれ100人ずつ指導を行い、その指導を受けた研修医がさらに・・・ってなれば、沢山の患者様の役に立つことが出来るんです。この“正のフィードバック”が広がることを切に願います。

 

ふぃーどばっく

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