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出来る“風”感染症診療

「感染症、得意なんです」・・・言ってみたいですね~。管理人は全然得意とは言えません。もし聞かれたら「たしなむ程度です」ってところでしょうか(^^;

 

そんな私達が、感染症診療でちょっと差をつけようとするなら「輸入感染症」を押さえておくことが一番の早道です。以下に『出来る“風”感染症診療』のポイントを挙げておきます(笑)。

 

まずはこの図を見てください。

ず

図:途上国に1ヶ月間滞在した場合の罹患率(Manson’s Tropical Medicine 21版より)

 

圧倒的に『旅行者下痢症』の頻度が高いことが分かります。なので、まずは『旅行者下痢症』について。「24時間以内に4回以上または8時間以内に3回以上の下痢で、少なくとも吐き気、嘔吐、胃部疝痛、発熱、便意促迫、腹痛またはしぶり腹、粘液便または血便の症状のうち一つを伴う下痢」と定義されています。原因菌は以下の通り。押さえておきたいポイントを挙げておきます。()内は頻度です(その他の下痢のポイントは『下痢って辛いよね』をご覧下さいm(_ _)m)。

 

毒素原性大腸菌(ETEC)(30~70%)

東南・西・東アジアやアフリカ/食物や手からの経口感染/潜伏1~数日/水様性の下痢、嘔吐、腹痛、発熱/排菌1週間/便培養必須(感染3日目より検出率50%以上)/ニューキノロン系・ホスホマイシン

 

細菌性赤痢(5~10%)

東南・西・東アジアやアフリカ/糞便→食物や手からの経口感染/潜伏1~5日(平均3日)/下痢(粘血便)、腹痛(しぶり腹)、発熱/便培養必須/ニューキノロン系・ホスホマイシン/家族の便培養が必要

 

サルモネラ(5%以下)

カンピロバクター(5%以下)

腸管付着性大腸菌(5~10%)

ロタウイルス(5%以下)

 

ランブル鞭毛虫(5%以下)

世界中に分布/経口感染/潜伏2~3週間/下痢(性状は様々)、鋭い腹痛発熱は稀、稀に胆嚢炎・胆管炎/検鏡/メトロニダゾール

 

赤痢アメーバ(3%以下)

世界中に分布・ホモセクシャル/経口感染/潜伏数日~数ヶ月(平均2~4週)/下痢(イチゴゼリー状)、腹痛、発症は緩やか、肝膿瘍/血清抗赤痢アメーバ抗体・検鏡/メトロニダゾール(内服中は禁酒

 

クロストスポリジウム(5%以下)

サイクロスポーラ(1%以下)

 

コレラ(1%以下)

熱帯・亜熱帯/経口感染(通常胃酸で死滅するため、胃切除者・胃酸分泌抑制剤内服者)/潜伏数時間~5日(通常1日以内)/激しい水様性下痢(米のとぎ汁様)、発熱・腹痛は稀 /コレラ毒素産生性のO-1・O-139 /脱水補正

 

原因不明(20~30%)

 

抗菌薬も大切ですが、とにかく脱水の補正が全てと言っていいでしょう。基本的な予防法は同じです。以下のように伝えてください。

 

「カットフルーツ、サラダ、生の魚介類は避けて下さい。自分でカットしたフルーツは大丈夫です。十分に加熱したものを食べるようにして下さい。水はミネラルウォーターか沸騰させたものを飲むようにして下さい。また、飲み物の中の氷にも注意が必要です。食事は不衛生な屋台はもちろん、ガイドに載っていないようなお店も避ける方が無難です。出来る限り衛生状態の良い店を選びましょう。」

 

下痢

 

この時点でも結構なボリュームですので、残りは潜伏期間だけ押さえておきましょうか。これ、結構有効なんです。例えば、帰国から1ヵ月以上たっての発熱ならデング熱やリケッチアの可能性はほぼゼロで、マラリアの可能性が非常に高くなる訳です。

 

マラリア:潜伏期間6日~1年
アフリカに多いP.falciparumは約90%が1ヵ月以内に発症しますが、アジアやラテンアメリカに多いP.vivaxは約50%が1ヵ月以上の潜伏期間を有します

デング熱:潜伏期間4~8(3~14)日間

リッケチア(ツツガムシ病):潜伏期間1週間(数日~3週間)

レプトスピラ(ワイル病):潜伏期間7~12(2~26)日

腸チフス:潜伏期間7~18(3~60)日)

マラリア、デング熱、腸チフスは、また改めて取り上げますね(^-^)

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