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何とも厄介!・・・副鼻腔炎

 

冷えてきましたね~。幸い今シーズンのインフルエンザの出足は比較的遅めですので、今回はインフルエンザもどきでやってくる『副鼻腔炎』について。

 

「片方の鼻が詰まって、そちら側を押すと痛くて・・・」なんて感じで受診していただいたら、診断する方としても楽(?)なんですが、実際は頭痛、めまい、歯の痛み、目の奥の痛みなど・・・一見不定愁訴のようにも感じる症状で受診されることもしばしばです。JAMAのClinical Examinationシリーズの“Dose this patient have sinusitis?”では、症状に対しての感度を以下のように報告しています。・・・イマイチ(*_*) 使えるのは鼻汁ぐらいでしょうか・・・。

 

Sensitivities(%) for Signs and Symptoms of Acute Sinusitis in Children

 

Swischuk et al

(n=63)

Wald et al

(n=30)

McClean et al

(n=25)

Kogutt et al

(n=96)

鼻汁

76

77

84

77

咳嗽

60

80

60

48

頭痛

48

33

発熱(≧38.3℃)

46

63

12

21

顔面疼痛・腫脹

30

8

口臭

50

 

John W. Williams Jr, MD, MHS; David L. Simel, MD, MHS JAMA. 1993;270(10):1242-1246. doi:10.1001/jama.1993.

 

ただ、①鼻周辺に訴えが集中、②前かがみで増悪、③後鼻漏による喉の違和感などは共通した症状と考えていいでしょう。

 

 

また、鼻の愁訴がある111人の成人患者を対象とした報告では、急性副鼻腔炎に対して何人かの評価者による症状の一致率は頭痛(κ= 0 . 78)、体熱感・悪寒・発汗(κ= 0 . 71)、咳嗽(κ= 0 . 68)、色のついた鼻汁(κ= 0 . 68)、顔の痛み(κ= 0 . 65)、上顎歯の痛み(κ =0 . 60)などなど。でも、これって結局「風邪ですね~」で終わっちゃいそうですね(^^;) ちなみに、身体所見では副鼻腔の圧痛(κ= 0 . 59)程度しか使えなさそうです。結局のところ、「いろいろな症状を呈するけど、身体所見で使えるのは副鼻腔の圧痛程度」って感じですかね。ただ、頼りの副鼻腔の圧痛も解剖学的に深い篩骨洞や蝶形骨洞ではほとんど役に立ちません。

 

 

 ふくびくー

 

もちろん、診断のポイントは「細菌性か否か?」になります。細菌性は全体の0.2~2%程度で、鼻汁が黄色なら細菌性ってわけでもありません。Water’s viewで副鼻腔の透過性の低下(特異度85%)やair-fluid level(特異度80%)を確認したとしても、それが急性なのか慢性なのか、ウイルス性なのか細菌性なのかの判断には使えません。臨床症状から判断する基準として、以下のようなものがあります。

 

 さいきんせい

 

ただ、もっとも大切な細菌性副鼻腔炎のキーワードは“double sickening”、つまり症状が710日後に二峰性に悪化することです。ウイルス感染で粘膜が腫れて鼻汁の流れが悪くなり、そこで細菌が増殖することによります。目の前の症状のみではなく、例え軽くても一週間以上前に先行する感染がなかったかの確認が必須です

 

 

また、Ann Intern Med 2001; 134: 498-505. では、抗菌薬の適応を以下のように記載しています。

 

 

  1. 炎症症状が7日間以上持続し、かつ頬部(特に片側性)の痛み・圧痛と、膿性鼻汁が見られる場合
  2. 症状の持続期間に関わらず、非常に強い片側性の頬部の痛み・腫脹,発熱がある場合

 

 

 

抗菌薬の推奨度に関しては、本邦の『急性副鼻腔炎診療ガイドライン』に詳細に掲載されています。管理人が言うのもおこがましいのですが、非常に良くできたガイドラインなので一読をお勧めします。ポイントだけ挙げておきます。

 

 

軽症の急性副鼻腔炎に抗菌薬を投与しない(推奨グレードB)

 

・投与する場合の適切な抗菌薬:AMPCABPC(推奨グレードA、効果なければセフェム系抗菌薬(推奨グレードA)

 

・マクロライド:急性副鼻腔炎の第一選択とはなり難い(グレードC1)。AZMのみ高容量の単回投与が可能

 

・レスピラトリーキノロン:小児には推奨しない(グレードC2)、成人の場合、高容量AMPC・ABPC、もしくは広域セフェム系に無効であった中等度以上の第二選択として推奨(グレードB)

 

 

つまり、『細菌性副鼻腔炎でも軽症例には抗菌薬を投与せず経過観察、中等症以上なら第一選択としてAMPCABPC、高容量ならAZMでもOK、第二選択はレスピラトリーキノロン』となります。

 

 

 

投与期間は7日~10日程度を推奨しています。実際の臨床現場ではダラダラと処方され続けていることもありますが、急性副鼻腔炎に対するAMPC長期投与の有効性を検討したRCTでは、3日、7日、10日、28日のうち、10日と28日の段階ではプラセボ群との差がなかったとのことです(http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1104985

 

 

 

プライマリケアの場面では、ぜひ押さえておきたい疾患ですね(^-^)


むー

 

 

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