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問題は・・・“早期”関節リウマチ

初診外来には「あちこちの関節が痛くてリウマチが心配です」という患者様が多く受診されます。メディアで『早期から治療を開始すれば、機能予後は良好』といった情報が広まったことも影響していると思います(すごくいいことですよね(^-^))。リウマチ因子測ったり、抗核抗体測ったり・・・で、何も異常がなかったとき、みなさんはどうしていますか?管理人は「まだ初期で検査の異常が現れていないだけかもしれないので、定期的に採血していきましょう」って伝えていますが・・・これって結構無責任ですよね(-_-;) かえって不安を煽っているだけのような・・・。

 

さて、何はともあれ下の2つの診断基準。

〈関節リウマチ診断基準(1987年 米国リウマチ学会)〉
(1) 少なくとも1時間以上持続する「朝のこわばり」が6週間以上続く
(2) 3個以上の関節の腫脹が6週間以上続く
(3) 手・中手指節関節・近位指節関節の腫脹が6週間以上続く
(4) 対称性関節腫脹が6週間以上続く
(5) 皮下結節(リウマチ結節)
(6) 血清リウマトイド因子が陽性
(7) 手・指のX線の変化
以上の7項目中、4項目を満たすもの。

 

この診断基準、発症 1年以上のRAに対する感度79%(71〜85%) 特異度90%(84〜94%)と報告されています。なかなかの感度ですが、“発症1年以上”の時点で、時代的にアウトです。ちなみに早期RA(1年以内)に対する感度: 77%(68〜84%) 特異度:77%(68〜84%)・・・微妙(*_*)

 

〈早期関節リウマチの診断基準(1994年 日本リウマチ学会)〉
(1) 3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
(2) 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる
(3) 朝のこわばりがみられる
(4) 皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる
(5) 血液検査で赤沈に異常がみられる、またはCRPが陽性である
(6) 血液検査でリウマトイド因子が陽性である
上記の6項目のうち、3項目以上にあてはまるもの。

・・リウマトイド結節が出ている早期関節リウマチ?!何かピンとこないです。実際、早期関節リウマチにおけるリウマチリウマトイド結節の感度は僅か3%です(何で基準に入っているんですかね(^^;))

 

RA患者における初診時の旧基準項目の感度・特異度

感度(%)

特異度(%)

朝のこわばり

68

65

3関節以上

80

43

MCP、PIP、手関節

81

46

対称性

77

37

リウマトイド結節

3

100

リウマトイド因子

59

93

単純X線変化

22

98

Saraux A et al. Ability of the American College of Rheumatology 1987 Criteria to Predict Rheumatoid Arthritis in Patients With Early Arthritis and Classification of These Patients Two Years Later. Arth Rheum. 2001;44:2485-2491

 

これらの診断基準、プライマリケアの設定では比較的使いやすいのですが、抗サイトカイン療法等の強力な抗リウマチ薬の登場によって早期からの治療介入が重要となっている現在においては、どうしても役不足です。1987年の診断基準に、MRIと血清マーカーを組み合わせ、関節炎発症から3ヵ月以内の“超早期”関節リウマチを診断する方法が厚生労働省の「関節リウマチの早期診断法の確立及び臨床経過の予測に関する研究」班から報告されていますが、これもプライマリケアの現場で使うわけにはいきません。

 

2009年10月に開催された米国リウマチ学会(ACR)年次総会において、ACRと欧州リウマチ学会(EULAR)の共同作成による20年ぶりの新しいRAの分類(診断)基準が発表されました。

 

The 2010 ACR/EULAR Classification criteria(分類基準)(2010)

RA診断基準

 

他の関節炎との鑑別に使いにくい『左右対称性』が削除されていたり、抗核抗体が定性的評価から定量的評価に変わっていたり、新たに抗CCP抗体が取り上げられていたりと、非常に実用的です。リウマトイド結節もないしね(^^;)

 

ここまでで終わろうと思ったのですが・・・よく考えたら、冒頭の問題は全然解決できていないことに気づきました(*_*) 問題は、『診断基準に当てはまらない患者様に、どうやって説明するか』でした。探してみると、こんな報告がありました。診断基準を満たさない関節炎患者に対して、関節リウマチへの進展が予想できるかどうかの検討です(Arthritis & Rheumatism 2007:56;433-440)。

 

急性発症の関節炎患者1700人を対象のうち、診断不明の関節炎患者570人を抽出し、一年間追いかけた、小規模ながらも前向き試験です。その結果、570名のうち177名が関節リウマチに、94名がその他のリウマチ性疾患に、150名が寛解しました。発症の予測因子は以下の通りです。

 

〈Prediction score〉
(1) 年齢:年齢×0.02
(2) 性別:女性なら +1
(3) 罹患関節の分布:手足の小関節 +0.5、対称性 +0.5、上肢 +1、上下肢 +1.5
(4) 朝のこわばり(VAS):26-90㎜ +1、>90㎜ +2
(5) 圧痛関節数:4-10個 +0.5、11個以上 +1
(6) 腫脹関節数:4-10個 +0.5、11個以上 +1
(7) CRP:0.05-0.5mg/dl +0.5、0.51mg/dl以上 +1.5
(8) リウマチ因子陽性 +1
(9) CCP抗体陽性 +2

 

最大14点のスコアで、6点以下なら91%(88-94)が関節リウマチに進展せず、8点以上なら84%(75-91)が関節リウマチに進展した、と報告しています。

 

・・・結構な頻度で関節リウマチを発症するんですね。もしかして見落としているんじゃ・・・(/ω\)

 

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