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「脳出血だ!」・・・血圧どうしようΣ(゚д゚lll)?!

2013年も間もなく暮れようとしています。当科にも大きな変化があった年です。確実に良い方向に向かっていることを実感できる一年でした。

 

さて、今年最後のネタは『脳出血急性期の降圧』についてです。ER外来では常に話題になる問題ですよね。この『脳出血の急性期にどれだけ血圧を下げるか』という問題に対しての明確な答えは、実はまだ出ていないのです。脳出血の急性期に血圧の上昇はほぼ必発で、血圧が上昇すればするほど止血しにくくなるのは周知の事実ですが、一方で脳出血の急性期には、その病変の周辺の血流は低下しているため、血流の維持のためには一定の血圧の上昇が必要・・・といった考え方もあります。現時点で最新の『脳卒中ガイドライン2009』では、脳出血急性期の血圧管理を『収縮期血圧180mmH未満または平均血圧130mmHg未満を維持すること』としていますが、エビデンスレベルはグレードC1(行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない)と、こんなに大切な問題なのに何だかフワ~としています(–;) ちなみにアメリカのガイドラインでは160/90mmHg未満、または平均血圧110mmHg未満と設定していますが、こちらも科学的根拠に乏しいようです。

 

 

これに対して、最近エビデンスレベルの高い論文が報告されました。第22回欧州脳卒中学会で報告された『INTERACT2試験』です。中国、オーストラリア、フランス、イギリス、など21ヵ国、144施設の共同研究で、発症6時間以内の脳出血患者2839例(主要転機の判定が出来たのは2794例)を、一時間以内の降圧目標を『収縮期血圧目標値<140mmHgとした積極的降圧群』と、従来のガイドライン通り『収縮期血圧<180mmHgを目標にしたマイルドな降圧群』に無作為に割り付けて、その後90日間の、患者の死亡や重度の障害の発症を比較したものです。

 

Anderson CS et al.Rapid Blood-Pressure Lowering in Patients with Acute Intracerebral Hemorrhage. May 29, 2013 NEJMoa1214609.

 

その結果、収縮期血圧目標値<140mmHgの積極的降圧群での主要転帰発生数が719/1382例(52.0%)だったのに対し、収縮期血圧<180mmHgを目標にしたマイルドな降圧群で785/1412例(55.6%)で、統計学的に有意な差はありませんでした。死亡率に関しても11.9% vs 12.0%で差は認められませんでした。しかし、起こった主要転機の重症度を修正Rankinスコアで評価した結果、積極的降圧群における重大な障害に関するオッズ比は0.87(p=0.04)で、有意な結果として報告されています。つまり「積極的降圧治療でも死亡を含めた主要転帰を減少させないが、機能的転帰の改善は期待できる」ということになります。この報告がどの程度のインパクトを持つかはまだ何とも言えませんが、少なくとも140mmHgを目指して積極的に降圧すること自体、大きな問題にはならなさそうです。

ガイドラインの内容はどんどん変更されていきます。大切なのは、「目の前の患者様にとって最良の方法は何か?」と、常に自問自答することなんだと思います。

 

今年も本当にお世話になりました。2014年が皆様にとって素晴らしい一年になりますように――

 

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