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これ「白質病変?無症候性脳梗塞?」

今日医局で何気なく話していた内容。「MRIでは『大脳白質不全』って報告されているけど、こういう時って抗血小板薬っているんですかね?そもそも、『無症候性脳梗塞』と何が違うんだろう?」あんまり考えたことなかったですけど、言われてみると確かに疑問。で、調べてみました。

 

まず『大脳白質病変』について。管理人が個人的に日本のガイドラインの中で最も素晴らしいものの一つと思っている『脳卒中治療ガイドライン2009』には、「大脳白質病変は、T2強調画像やプロトン密度強調画像で脳室周囲白質や深部・皮質下白質に淡い高信号病変を呈し、FLAIR画像では明瞭な高信号を呈する。T1強調画像では等信号あるいは大脳灰白質と同程度の軽度低信号を示す。大脳白質病変は脳室周囲病変(Periventricular Hyper-intensity:PVH)と深部皮質下白質病変(Deep and Subcortical White Matter Hyperintensity:DSWMH)に分けられる。」と書かれています。・・・何か結論が出ちゃいましたね。つまり、『頭部MRIの所見』なんです。

 

それに対して『無症候性脳梗塞』。同じガイドラインには、「画像上梗塞と思われる変化があり、かつ次の条件をみたすものをいう。 A)その病巣に該当する神経症候(深部腱反射の左右差、脳血管性と思われる痴呆などを含む)が ない。B)病巣に該当する自覚症状(一過性脳虚血発作も含む)を過去にも現在にも本人ないし家 族が気付いていない。」・・・言われてみればその通りですが、意外にフワ~とした定義なんですね(^^ゞ

 

もちろん、どちらの病態も動脈硬化の進行による変化ですので、脳卒中の発症リスクになります。無症候性脳梗塞のある患者の年間脳卒中発症率が1.87%と、無症候性脳梗塞のない患者の0.95%より有意に高く、独立した予後不良因子となります。また、高度の白質病変は脳卒中発症のオッズ比10.6と、無症候性脳梗塞のオッズ比8.8に比べて有意に高いと報告されています。さらに、白質病変は認知機能障害、特に前頭葉機能低下に関連した障害の指標となる可能性も示唆されています(白質病変による脳梁萎縮の程度が知的機能低下の程度と相関していたという報告もあります)(山内浩『MRI T2強調画像上の大脳白質病変の意義に関する研究』)。

 

「じゃあ、どっちも抗血小板薬!」って思ってしまいそうですが、どうやら少し違うようです。『無症候性脳梗塞』に対する抗血小板療法に対しての高いレベルでのエビデンスはなく、前述のガイドラインでもグレードC1(行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない)となっています。むしろ『無症候性脳梗塞』の最大の危険因子は高血圧です。『無症候性脳梗塞』からの脳卒中発症例の21%に高血圧性脳出血がみられたという報告もあり、ガイドラインでも「とにかく血圧を下げなさい!」(グレードB)となっています。「しっかりとした血圧コントロールをした上でなら、抗血小板薬してもいいんじゃないかな~」って感じです。ちなみに『大脳白質病変』に関しては、抗血小板療法による脳卒中発症抑制効果の報告はなく、とにかく適切な降圧が必要としています(グレードB)。

 

ちなみに、このガイドラインでは「無症候性ラクナ梗塞を有する患者への説明には十分な注意を払い、いたずらに 不安感をつのらせないようにするべきである」と記載されています。こういう記載のあるガイドラインっていいですよね(特に意図はないのですが、何かこのガイドラインのよいしょばかりしている感じになっちゃいました汗)

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