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「私、“ノウソッチュウ”じゃないですか?!」

「先生、昨日から何だか頭が痛くてね。“ノウソッチュウ”じゃないですかねぇ。」なんて、患者様に聞かれたことありませんか?実は今日、管理人もこんな質問を受けました。毎回「突然起こった訳じゃないし、今は血圧も高くないし大丈夫ですよ。」みたいな会話でお茶を濁す(?)んですが、実際のところどうなのでしょう。こんな悩みに対する答えが、今年1月のBritish Medical Journal誌に載っていました。

 

Kurth T et al. Headache, migraine, and structural brain lesions and function: population based Epidemiology of Vascular Ageing-MRI study. BMJ. 2011 Jan 18;342:c7357. doi: 10.1136/bmj.c7357.

 

これは、フランスの国立衛生医学研究所が、一般市民780人(平均年齢69歳、男性324人、女性456人)を対象とした「Epidemiology of Vascular Ageing study」において、一般的な頭痛、あるいは特定の頭痛と大脳白質の病変、脳梗塞、認知機能との関連について行った評価です。頭痛の評価は、「International Classification of Headache Disorders」改訂第2版に基づいて行い、MRIで大脳白質病変の大きさおよび梗塞の種類を決定しています。また、認知機能に関してはMini-Mental State Examinationなど複数の試験で評価しています。

 

大脳白質病変の総容積を三段階に分けて検討したところ、重度の頭痛の既往のない617人に対して、総容積が一番少ない群と、総容積が一番多い群とのオッズ比は2.0と、有意な差は認めませんでした。
重度の頭痛の既往がある163人について、その内訳は片頭痛116人、非片頭痛47人でした。片頭痛を訴える患者のうち、前兆を伴うと答えたのは17人でした。そして、前兆を伴う片頭痛の患者のみが、大脳深部白質病変の大きさが大きいこと、および脳梗塞と強い相関があることを示しました(前者のオッズ比:12.4、後者のオッズ比:3.4)。なお、梗塞の大部分は小脳や脳幹以外の部位に認められました。
認知機能が、頭痛や脳病変の有無と関連することを示すエビデンスは確認できませんでした。

 

つまり、このスタディの結論は①重度の頭痛の既往と大脳白質病変の大きさには相関関係がある②脳梗塞との関連は前兆を伴う片頭痛に限られる③頭痛単独ではもちろん、頭痛と大脳白質病変の両方がそろっていても認知機能障害と関連することはない・・・という訳です。

 

このデータで「片頭痛の前兆ってことなら脳梗塞と関係あるかもしれないけど、それ以外なら関係ないから心配しなくていいですよ。」・・・で終わってくれればいいんですけどね。結局「でも、やっぱり心配だから“エムアールアイ”とかいう検査ができる病院紹介してよ。」・・・プライマリケアは難しい。

 

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