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『海岸』と『彗星』を探しましょうo(^▽^)o

先日『Aichi Resident Forum』が開催されました。「『内科って面白い!』って感覚を学生さんや研修医のみなさんに伝えよう」というコンセプトで、3年前から開催されている勉強会です。今回の企画担当は管理人がやらせていただきました。正直、ちょっとしたプレッシャーだったのですが、当院循環器内科の椎野憲二先生、名古屋大学医学部附属病院の鈴木富雄先生、お二人の熱のこもったレクチャーのお陰で大盛況の内に終わりました。有難うございました。

 

今回のレクチャーで、椎野先生が『肺エコー』について説明されていましたので、この機会に勉強してみました。

 

まずは胸にプローブを当ててみましょう。場所はどこでもOKなのですが、気胸等の確認のため、まずは右前腋下線第3肋間からの長軸アプローチが勧められています。以下が正常像です。

 

正常肺エコー  〈正常肺エコー像〉

まず、肋骨と肋骨の間にあるpleural line(胸膜)を確認します。そこから下(エコー的に言えば深部)に目線を移すと、pleural lineと並行した線があります。これを A lineと呼び、胸膜面にある空気によって起こるアーチファクトです。A lineは正常肺でも病的肺でも観察されます。もう一つ覚えておく必要があるのがsliding lung sign。これは呼吸の時に生じる臓側胸膜と壁側胸膜とのズレで、それが高エコーのラインとして確認できます。二枚の膜が擦れているので、このラインはゆらゆらと動いて見えます。このゆらゆらが見えないということは、臓側胸膜と壁側胸膜が擦れあっていない⇒臓側胸膜と壁側胸膜⇒気胸、無気肺、胸膜癒着といった病態を疑います。

 

 

この流れで気胸。正常肺のM-modeではseashore signが確認できます。肺実質は呼吸で動いているので、その部分が海岸(seashore)のようにみえるサインです。気胸の時は肺実質が確認できませんので、まっすぐ横のラインになっているアーチファクトが深くまで続きます(bar-code sign)。

 

正常肺エコー2 〈正常肺エコー像〉

 気胸肺エコー

〈気胸の肺エコー像〉

Chest. 2008 Jul;134(1):117-25. Relevance of lung ultrasound in the diagnosis of acute respiratory failure: the BLUE protocol. Lichtenstein DA, Mezière GA.より引用

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次に肺水腫。ここで大切なのはB lineです。B lineは水と空気が共存しているときに見られる線で、間質に水分が貯留していることを意味します(そのため、間質性肺炎でもみられます)。胸膜から起こる彗星の尾のように見えるためcomet signとも呼ばれます。 A lineを消して、sliding lung signとともに動くのが特徴です。正常でも確認されることはありますが、3本以上あり、かつB line同士の幅が7mm以内の場合は有意ととります。

肺水腫肺エコー

〈肺水腫でみられるB line(comet sign)〉

 

ここまででもかなりの武器なんですが、最近は肺炎のスクリーニングにも肺エコーが使われているようです。ただ、肺炎の場合は色々なパターンをとりますので、「この所見が肺炎像」と言い切るのは難しいかもしれません。ただ、胸水貯留とconsolidationがあれば、かなりそれらしい所見と言えます。胸水の確認は簡単です。エコーで水は低エコー領域とし映りますので、pleural lineに接した無エコー領域があれえば胸水です。吸気時に肺実質が胸膜ラインにシフトすることをsinusoid signと呼び、前述の文献では胸水の感度92%、特異度97%と報告されています。consolidationは通常肺の表面に達するので、エコーで捉えやすい所見です。普通の肺に比べて、低エコーに見えるところは胸水と同じですが、呼吸をするとサイズが変わらないのがconsolidationの特徴です。

 肺炎肺エコー

〈肺炎の肺エコー像〉

Sは脾臓で黒の矢印がconsolidation(間の白い部分が横隔膜).白の矢印が胸腔で低エコー領域が胸水

 

まとめるとこんな感じです。

  • 正常:pleural line、 A line、sliding lung signがみられる
  • 気胸:sliding lung signとseashore signがみられない.M-modeでbar-code sign
  • 肺水腫:B line(comet sign)が3本以上みられる
  • 肺炎:呼吸で動かない低エコー領域があればconsolidationの可能性あり

 

ちなみに、それぞれの感度・特異度の報告は以下の通りですが・・・

  • 気胸:感度88%、特異度99%(胸部XPは感度52%、特異度100%)
  • 肺水腫:感度100%、特異度92%
  • 肺炎:感度 95%、特異度 57%(胸部XPは感度60%、特異度76%)

 

  • Diagnosis of Pneumothorax by Radiography and Ultrasonography. A Meta-analysis; CHEST 2011; 140(4):859–866
  • Evaluation of a thoracic ultrasound training module for the detection of pneumothorax and pulmonary edema by prehospital physician care providers
  • American Journal of Emergency Medicine 32 (2014) 115–118

 

これらの報告は救急外来やICUからのものがほとんどですので、診断に迷うⅠ度気胸や軽度の肺炎などの場合はこの限りではありません。それに、肺エコーに限らず、エコーは術者のスキルにより感度・特異度が大きく変わりますしね(^^ゞ でも、丸腰で戦わなければいけない診療所なんかでは、やはり大きな武器です。練習あるのみ・・・ですねヽ(・∀・)ノ

 

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