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研修医勉強会〜今日のお台は“DIC”

当院では毎週木曜日の午前8時から、研修医の先生方による勉強会が開催されています。現在4年目の先生方が自主的に始めたこの勉強会、今もしっかり受け継がれているのは嬉しい限りです。

 
さて、本日のお台は『DIC』でした。リコモジュリンの登場により、この分野の進歩は日進月歩です。この猛スピードに振り落とされないように、基本的なところはチェックしておきましょう。

 
・ DICには、明らかな凝固活性化にも関わらず、線溶活性化の程度が弱いために生じた微小血栓による臓器障害が中心にみられる『凝固優位型DIC』と、凝固線溶両者の活性化が著しく、臨床症状としては出血症状が高度であるのに対し、臓器症状はほとんどみられない『線溶優位型DIC』がある。
・ 急性前骨髄球性白血病(APL)に合併するDICは線溶優位型DIC。
・ DICを疑った際に確認すべき項目は、一般止血検査(血小板フィブリノゲンPTFDP)とその他の止血・線溶系マーカー(D-dimer、可溶性フィブリン/可溶性フィブリン複合体、トロンビン-アンチトロンビン複合体/プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)、プラスミンープラスミンインヒビター複合体、アンチトロンビン、プラスミノゲン、PAI-1、トロンボモジェリン)がある。
・ プライマリケアの現場で確認したい項目は一般止血検査とD-dimerアンチトロンビン
・ DICにおける血小板数の低下は血管内での過剰な血小板の消費が原因。感度は高いが、血小板低下は血液疾患、悪性腫瘍の骨浸潤、放射線、薬物などによる血小板産生低下、脾機能亢進や網内系での破壊亢進も原因となるため特異度の低い項目
・ フィブリノゲンはDIC合併により低下するが、基礎疾患である炎症性疾患による増加が大きい場合にはフィブリノゲン値は150mg/dl以下には減少しないこともある(そのため急性期DIC診断基準からフィブリノゲン値はスコアリングから削除されている)。診断に対する特異度は極めて高いが、感度は低い
・ PTは外因系や共通因子系の異常により延長がみられる。DICでは凝固因子の消費性欠乏や肝障害による産生低下を伴うことが多く、PT延長は感度・特異度ともに高いと報告されている。また、PTは肝機能や臓器障害を反映するため、PTの延長は予後の不良を示唆する。
・ FDPは線溶亢進状態を表す鋭敏かつ簡便な一般止血検査。DICを発症していなくても、DICの基礎疾患では高値を示すことが多く、プライマリケアの分野でも使用しやすい。DICの診断基準でも高いスコアが配分されている。
FDPが一次線溶と二次線溶を反映するのに対し、Dダイマーは二次線溶亢進のみを反映するため、特異度はFDPより高い。
・ 感染症DICなどでは血中AT値が低下することが多い。その機序としては凝固系活性化による消費、炎症に伴う産生低下、血管内皮細胞障害による血管外漏出などが考えられる。このため、AT低下はDIC診断だけでなく、血管内皮細胞障害ならびに予後のマーカーとなる。
Dダイマー/FDP高値→凝固優位Dダイマー/FDP低値→線溶優位を考慮する。
すべてのDICの最良な治療法はDICの原因となっている基礎疾患の治療であり、未分画ヘパリン、低分画ヘパリン、ヘパラン硫酸、合成プロテアーゼ阻害薬などは、あくまで原因疾患への治療効果が現れるまでの“とりあえずの治療”と心得る。
・ 未分画ヘパリンのDICに対する治療効果に関する高いレベルでのエビデンスはない。
・ 未分画ヘパリンの出血性副作用を軽減させるために開発されたのが低分画ヘパリン。未分画ヘパリンに対して同等以上の有用性や安全性が示されているが、死亡率に対する改善効果は検討されていない。
・ ヘパリン類似物質であるヘパラン硫酸(オルガラン)は、血液内皮細胞により産生される。未分画ヘパリン、低分子ヘパリンに比べより生理的であり、出血の副作用はより少ない。
・ 合成プロテアーゼ阻害薬(FOY、フサン)は副作用の少ないことからDICの治療によく用いられる。大規模なスタディでDICに対しての有用性が示されているものの、予後改善においてヘパリンを上回るエビデンスは出ておらず、活動性出血を認める場合以外では、補助的な治療として位置付けておく必要がある(少なくとも、国際的にはDICの治療薬としてほとんど認知されていない)。
・ 濃厚血小板、新鮮凍結血漿(FFP)、アンチトロンビン製剤などの補充療法は、新生児を対象としたランダム化比較試験があるものの、成人を対象としたエビデンスはない。
・ 造血器悪性腫瘍および重症感染症を基礎疾患としたDICに対して、リコモジュリン vs 低用量未分画ヘパリンの二重盲見無作為臨床試験では、DIC離脱率(66.1% vs 49.9%)、有害事象の出現率(43.1% vs 56.5%)ともに、優位なデータが出ている

 
学生時代は眠気を誘うだけだった(失礼!)DICの病態生理ですが、やっぱり大切だからあんなに強調されてたんですね。反省反省(^^ゞ

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