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『名古屋総合診療合同カンファランス』に行ってきました

恒例の名大総診カンファに行ってきました。今回で45回目を迎えるこのカンファ、名古屋近辺の総合診療を行う医師や研修医、学生などが集まり、興味深い症例をみんなでシェアする勉強会です。

総合診療やプライマリケアの勉強会に参加したことがある方はご存知だと思いますが、他の多くの勉強会とは少し趣が違います。症例提示中の『病歴』、『身体所見』、『鑑別診断』の段階でプレゼンテーションを中止し、「さぁ、みなさんは何を考えますか?」と参加者に問いかけ、全員で診断に迫っていきます。事件を解き明かしていくようなスリルがありますし、ただ聴いているだけの勉強会より確実に頭に残ります。

今回は小牧市民病院、当院総合救急内科、名古屋第二赤十字病院から3症例が提示されました。病棟の都合で小牧市民病院が提示された症例の詳細は不明ですが、肺炎球菌による髄膜炎についての解説をされていました。

・グラム陽性双球菌で93タイプの莢膜を持つ。莢膜がバリアとなり、菌のオプソニン化に関与するヒト補体を活性化させないため、ヒト多核白血球による貪食作用に抵抗を持つ
・小児では咽頭に保菌していることが多い(保育園児の90%から肺炎球菌やインフルエンザ菌を検出する)。
・主に宿主細胞に発現したPAF(platelet activating factor)レセプターに接着する。PAFレセプターは全ての臓器の細胞表面に発現する可能性があり、特に血管内皮肺胞上皮白血球表面脳細胞表面への発現が報告されている。
・髄膜炎においては、クモ膜下腔に存在する血管の内皮細胞にPAFレセプターが発現し、肺炎球菌が接着することにより細胞間結合が消失し、血液脳関門が破壊され感染が成立する(肺炎球菌による重症敗血症は髄膜炎を合併する可能性あり!)。
・肺炎球菌性肺炎は、初回に一回だけ悪寒戦慄をきたすことが多い。
・肺炎球菌による電撃性紫斑病の報告はあるが、正常免疫能を持つ成人にみられることはほとんどなく、多くは小児や免疫不全患者である。
・βラクタマーゼは産生せず、耐性化にはpenicillin binding protein(PBP)が関与する。
・極めて進行が早い。特に脾摘患者では重症化しやすい

さて、2症例目は当院総合救急内科の山中克郎先生からの症例提示でした。今更管理人が言うのもおこがましいのですが、いつ聴いても山中先生の進行には引き込まれます。当院医学部の学生も多数参加し、大活躍していました。みんなセンスのいい質問していましたよ(^.^)b

症例は22歳の男性で、一年に1回ぐらい、2週間程度頭がボーとして、記憶がぼんやりして、ひたすら眠くなって・・・何じゃこりゃ?全然鑑別が出てこない!一応、『変動する意識障害』というカードで鑑別を進めると側頭葉てんかん、TIA、Top of the basilar syndrome、ナルコレプシー、海綿状脈動血栓症、脳底片頭痛、結核性髄膜炎、甲状腺機能低下症、慢性副腎不全、薬物中毒・・・いや、どれもしっくりこないなぁ。最終的には『反復性仮眠症疑い』・・・やっぱり何じゃこりゃ?です(でも、医学参考書の『Step内科』に載ってるんだって・・・おそるべし)。

・反復性仮眠症(周期性傾眠症)は、強い眠気が起きる時期(傾眠期)が3日~3週間続き、この時期には1日18時間くらい眠ってしまう非常に稀な病気。
・hypothalamic dysfunction説、中枢性セロトニン・ドパミン代謝異常説、自己免疫疾患説、局所的脳炎説などが提唱されているが、未だに原因不明。
・欧米の報告では、過食や性欲亢進などを呈する場合が多く、それらが全面に立つ場合はKleine-Levin 症候群と呼ばれるが、本邦ではほとんどの症例で反復性の過眠のみを特徴とする。
・過食よりも傾眠に伴い食事摂取の減少を生じ、性欲亢進という状態よりも、母親に甘えるなどのむしろ退行と捉えられる症状であることが多い。その他の症状として集中力低下、記憶障害、錯乱、現実感喪失、炭水化物や甘いものを好むなど。
・ポリソムノグラフィーで睡眠期前半はslow wave sleep(non-REM期ステージ3-4)の頻度が減少し、睡眠期の後半でslow wave sleep頻度が無症候期と同程度まで回復するという、少数の報告あり(Neurology 70; 795-801, 2008)。でも、基本的には除外診断。
・傾眠期にはアンフェタミン、傾眠予防にリチウムを使用することがあるが、有効性は疑問視されている。
・20歳までに自然治癒することが多く、10年経過すると症状は軽快する。

興味深い症例でしたが、何より気になったのが「4年前に当院に入院した時には『何でもないよ』と言われて退院した」・・・その主治医、管理人じゃないですよね(´ε`;)

3症例目の脾梗塞を合併した感染性心内膜炎の症例も興味深かったのですが、ボリューム満点でお腹いっぱいになってしまいましたので、また別の機会に。

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