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ワンランク上のプライマリ・ケア(DMARDSを使ってみよう!)

 

最近の関節リウマチの治療の進歩には、目を見張るものがあります。少し前までは「リウマチですね、専門の先生にお任せしましょう」でしたが、現在は治療の導入時以外は、ほぼプライマリ・ケアの領域になってきました。TNF阻害薬(レミケード、ヒュミラ、アクテムラなど)はまだ敷居が高い感じはありますが、疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modified anti-rheumatic-drugs;DMARDS)に関しては、非専門医でもある程度の知識を入れておく必要があります。

 

以下は、使用頻度の高い薬剤の有用性の表です。

図1

 

「何か聞いたことあるけど・・・」な薬ばかりですよね。とりあえず、『免疫調節薬』『免疫抑制薬』に分けられるんですが、いずれも正確な作用機序に関してはあまり分かっていないようです(どうやって開発したんだ(。-_-。)?)。とりあえず、プライマリ・ケアのセッティングでは『免疫調節薬』は「異常をきたした局所をターゲットとして、過剰な免疫の働きを調整する薬」、『免疫抑制薬』は「全身の免疫系の働きを押さえ込むことで病状の進行を阻止する薬」とざっくり覚えるだけでOKです。そうすると、何となく“効果:免疫抑制薬>免疫調節薬”“副作用:免疫調節薬>免疫抑制薬”って感じがしますし、実際のイメージもそんな感じです。

 

では、それぞれの薬について。とりあえず、アザルフィジンENリウマトレックスだけでもおさえておきましょう。

 

サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)

  • 抗菌作用を有するサルファ剤と抗炎症作用を有する5-ASAの特徴を持つ抗リウマチ薬(サルファアレルギーには禁忌)。
  • ほとんどの関節リウマチ患者に適応あり。将来妊娠予定のある患者、易感染状態(リウマチ肺合併、糖尿病、ステロイド依存性、喫煙者)のある患者、腎障害のある患者、悪性腫瘍の既往のある患者でも使用可(妊婦でも葉酸と併用して使えば禁忌ではない)。
  • 通常1~2ヶ月で効果が発現する。それまでは消炎鎮痛薬の投与を継続する。
  • 500~1,000mg/日、1日2回から開始。
  • 副作用発現率は23.1%で、発疹、悪心・嘔吐、肝障害、腹痛、発熱、胃不快感、掻痒感、光線過敏(主に夏)など。投与初期は(頻度は少ないが)血球減少も認めるため、3ヶ月までは2~3週の頻度で採血フォローが理想

 

ブシラミン(リマチル)

  • ほぼ全例に投与可能だが、副作用としてタンパク尿が多く、腎機能障害患者には禁忌(ネフローゼ症候群等の重篤な腎障害を起こす恐れ)。添付文書上は骨髄抑制患者、妊婦または妊娠している可能性のある女性にも禁忌。
  • 高活動性の場合、サラゾスルファピリジンやMTXとの併用も可。
  • 50~100mg/日から開始。200mgまで増量可能。
  • 実際に遭遇することが多い副作用はタンパク尿(6ヶ月以内が多い)、白血球減少(1ヶ月以内が多い)、黄色爪(3ヶ月以内が多い)など。月に1回の尿検査が必要

 

金チオリンゴ酸ナトリウム(シオゾール)

  • MTX登場前の中心的な薬剤。免疫抑制剤が使用できず、かつ他の免疫調節薬の効果が不十分な場合に使用。

 

メトトレキサート(リウマトレックス)

  • 効果と副作用のバランスが最も良く、特に免疫抑制剤の中では感染症のリスクが少ない
  • 初日から二日目にかけて12時間間隔で2mgを3回投与し、残りの5日間は休薬する(6mg/週)。8週間以上投与しても効果がない場合は16mg/週まで増量可(8mgなら12時間間隔で4mg、2mg、2mg)。
  • 副作用としては肝障害、高齢者では血球減少、稀だが重篤な副作用として間質性肺炎。添付文書上では、間質性肺炎、肺線維症等の肺障害、感染症の合併、アルコール常飲者などには慎重投与。
  • 骨髄抑制、肝・腎機能障害等のモニタリングのため、投与開始前および投与中4週間ごとに血液検査・尿検査などの確認が必要
  • 薬剤性肺炎は投与一年以内に起こる用量非依存性の副作用。咽頭痛や鼻汁などを伴わない乾性咳嗽や労作時呼吸困難が特徴。症状が現れたらすぐ連絡するよう指導。感冒様症状が現れたら、一週間服薬中止。
  • 肝機能障害、口内炎、嘔気などの消化器症状、骨髄抑制は用量依存性の副作用で、葉酸(フォリアミン)の投与で改善することが多い(フォリアミン5mgをMTX服用後24~48時間後に内服)。

 

ミゾリビン(プレディニン)

  • 感染症などの副作用が少なく、かつ高齢者で効果が高く、使いやすい薬(リンパ球に選択的に作用し、マクロファージや好中球などの自然免疫系への作用が少ないため)。
  • 長期罹患の高齢者で積極的な治療を希望しない患者のQOL改善に有効。
  • 若年者の活動性の高い関節リウマチへの効果はイマイチ。

 

タクロリムス水和物(プログラフ)

  • 移植分野では代表的な免疫抑制剤だが、腎障害などの副作用に対して血中濃度測定が必要になる。
  • 単剤よりも、MTXなどとの併用が効果的(ただし、生物学的製剤並に高価)。

 

レフルノミド(アラバ)

  • 発売当初はMTXより肝臓、肺の副作用が少ないとされていたが、実際には同程度(あまり選択のメリットなし)。

 

これらを踏まえると、こんな感じになります。

 

  • 低活動性or中等度で予後不良因子(身体機能障害、関節外症状あり、RFや抗CCP陽性、X線で骨びらん)なし⇒アザルフィジンENかリウマトレックス単独
  • 中等度で予後不良因子あり⇒リウマトレックス単独かアザルフィジンENとリウマトレックス併用orリウマトレックス+TNF阻害剤(アクテムラやレミケード)併用
  • 高活動性で予後不良因子なし⇒アザルフィジンENかリウマトレックス単独
  • 高活動性で予後不良因子あり⇒リウマトレックス+TNF阻害剤

(ただし、リウマトレックスとプログラフは保険上他の薬剤で効果不十分な場合のみ)

 

また、早期の症状コントロールのためにプレドニゾロン5~7.5mgを投与すると、関節破壊を遅らせる効果もあり有用です。

 

「あ~、やっぱ面倒臭い!専門科に任せちゃえ!」って気持ちはよく分かります(^_^;) でも、関節リウマチの治療中の方が救急外来を受診することはよくあると思いますし、どういう背景因子があって薬が選択されたかを知ることも非常に大切です。

 

Disease-modifying-anti-rheumatic-drugs-DMARDS

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