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今年も来ました!『熱中症の季節です』

最近外来で少しずつ増えてきた会話があります。「そろそろ熱中症の季節ですから、気を付けて下さいね。」この時期の外来では、もう季節の挨拶みたいなものです。近年は健康番組や昼のワイドショーなんかでも頻繁にとりあげられていますし、いつのまにか「誰でも知っている病気」になった気がします。

 

さて、この熱中症へのアプローチなのですが、実はあまり決まったアプローチがありませんでした。以前当ブログでも紹介しましたが(『熱中症の季節です』)、今までは「海外での定義と日本での定義が違うのに、無理矢理海外の定義に当てはめて対応しているから、今一ピンとこない。」というのが現場の感覚でした(管理人の個人的な意見ですが(^_^;))。

 

“ありませんでした”と書いたのは、今年から決まったアプローチができたんです!日本救急医学会監修の『熱中症診療ガイドライン2015』が、今年3月に刊行されたんです。いや~、日本って本当にいい国ですね。良質なガイドラインがどんどん作られていきますし、しかもこのガイドラインはフリーアクセスヽ(・∀・)ノ笑 これを享受しない手はないです。

 

このガイドラインは、最近のガイドラインでよくみるclinical question(CQ)に答える形式で記載されています。質問は11項目です。

 

 

CQ1:本邦における熱中症の発生頻度はどのくらいか

CQ2:どのような人が熱中症にかかりやすいか?

CQ3:熱中症の発生に関係する気象条件にはどのようなものがあるか

CQ4-1:熱中症の診断基準は、どのようなものか?

CQ4-2:熱中症の重症度はどのように判定するか?

CQ5:熱中症の予防・治療には何を飲めばよいか

CQ6:新たな冷却法は有効か

CQ7:冷却目標温度と冷却時間はどのぐらいが適切か?

CQ8:熱中症に合併するDIC の治療は必要か

CQ9:熱中症における臓器障害に有効な治療は何か

CQ10:熱中症の後遺障害にはどのような特徴があるか

CQ11:熱中症死亡例の特徴にはどのようなものがあるか

 

 

・・・て、少なくない?!管理人の第一印象はこれです。実は、このガイドラインは全体で30ページ、実際の内容はわずか20ページなんです。さっと読めてしまうボリュームで取っ付きやすいのですが、正直、「救急外来で使えるか?」と思ったんですが ―― 読んでみてよく分かりました。このガイドラインは救急外来での使用を目的としたものではなく、プライマリ・ケアでの利用を見越して作成されているんです・・・多分(^_^;) 特にCQ1,2,3,5,6,7あたりは、椅子に座って診察するだけの場面でも是非押さえておいて欲しい内容です。

 

とはいえ、救急外来で戦う研修医の先生方にとっても必須の知識も沢山掲載されています。特に押さえておいていただきたいのは診断基準です。特に、熱中症とはじめて戦う一年目の先生は、この表を白衣のポケットに入れておいて下さい

 熱中症 重症度

 

熱中症 付記

 

前回のブログでは利便性から「熱失神」「熱疲労」「熱射病」などに分けて解説していますが、今回のガイドラインでは、これらを『重症度』という一本の軸で整理しています。これは、今まで最重症に位置付けられていた「熱射病」の3主徴『意識障害、体温40℃以上、発汗停止』といった症状に固執するあまり、その他の病態への対応が遅れることを防ぐ狙いがあるようです。また、「現場での対応も可能」といった一文を入れているところが、一般市民への啓蒙的な意味合いや、プライマリ・ケア医の患者教育、さらには“熱中症ラッシュ時”の救急外来の混乱防止といった意図が感じられます。

 

「今年の夏は例年より暑くなります」みたいな予報を毎年聞く気がしますが、実際、太平洋赤道域の海面水温が高い影響で大気全体の温度が高く、暑い夏になりやすいそうです。熱中症への対応を覚えておくのはもちろん、皆さん自身も救急外来に熱中しすぎて熱中症にならないように・・・って、前回と同じ締めになっていますね、ハイ(^_^;)

 

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