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ここは・・・どこ?

ここ3日で何と二人の「何か記憶が・・・」な患者様が入院してきました。『意識障害』や『意識消失』なら比較的得意としている当科ですが、『記憶障害』となると…やや不安(汗)。入院された患者様の診断はこれからですが、とにかく“患者様のために”頑張らなきゃ(`・∀・´)!

何はともあれ、一過性全健忘 (Transient global amnesia:TGA)に関しては知っていなきゃいけません。救急外来でも時々経験しますので、是非覚えておいて下さい。とりあえず、天下のHarrisonを中心にまとめてみました。

・高度なエピソード障害が突然生じる
・通常50歳以上にみられる
・原因は不明だが、静脈うっ滞による海馬CA1の機能不全が考えられている
鑑別対象は脳炎・髄膜炎(特に結核性)、top of the basilar syndrome、側頭葉てんかん、片頭痛、海綿静脈洞血栓症、脳底片頭痛、ビタミン欠乏、不整脈、アルコール、薬物中毒、転換性障害など
・記憶障害は感情的に興奮したときや、身体的に発奮したときに生じやすい(疼痛、入浴、冷水、性交渉、侵襲的検査、口げんか)
・発作中は意識清明、会話可能、全般的認知機能正常、神経学的兆候や所見は認めない
・周囲のことが理解できないため、不安に陥りしつこく家人に問いただす
・記憶の能力は一定時間後に正常に回復するが、発作中の記憶は失われたまま

診断基準はいくつか出ています。比較的頻用されている基準は以下の通りです。

<診断基準(Hodges et al., 1990) >

・発作中の情報が目撃者から得られる
・発作中、明らかな前向健忘が存在する
・意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる
・発作中、神経学的局所徴候はない
・てんかんの特徴がない
・発作は24時間以内に消失する
・最近の頭部外傷や活動性のてんかんのある患者は除外する

・診断の基本は除外診断で、臨床症状から類推されることが多い(頭部MRIで海馬CA1を中心に小さな異常信号を検出できることがある)
・他疾患除外のために脳波は必要。SPECT、PET、頸静脈超音波、VitB1などの確認は行なってもよい
・約4分の1に再発作を認めるが、その後の脳卒中のリスクが上がることはない(てんかんに関してはその後の発症頻度が上がるという報告もある)
・まれに永続的な記憶障害を認める場合があるが、これらの症例の多くは海馬や両側視床内側の梗塞を生じている

なかなか難しい疾患ですね。でも、知っているとちょっとレベルアップできる疾患ですので、総合診療に興味のある先生は是非チェックしておいて下さい。

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