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口がパサパサ・・・だけじゃない!~シェーグレン症候群~

外科系のネタにはちょっと疎いのですが、内科系の最近のトピックスは、間違いなく糖尿病治療の『インクレチン関連製剤』と、以前に取り上げた『IgG4関連疾患』だと思います。特に、前者に関しては、下手したら一週間に一本程度の大規模な臨床試験が報告されているんじゃ・・・ってことで、改めてこのコラムでも触れさせていただく予定です。今回は、後者の疾患との関連が深い『シェーグレン症候群』について。

 

 

今までのシェーグレン症候群の位置づけは「膠原病の中ではメジャーだけど、ほとんどが目の乾きと口の乾きだから、頑張って診断つけても・・・」って感じだったんじゃないかと思います。随分偏った言い方かもしれませんが、早期の治療開始が機能予後に大きな影響を与える関節リウマチや、肺高血圧症や間質性肺炎といった致死的な合併症を認める全身性強皮症やMCTDなどと比べて、膠原病の専門外来でも、「比較的気楽に経過観察できる疾患」として扱われていることが多かったようです。しかし、近年のIgG4関連疾患研究の高まりから、従来の「乾燥所見が少ないシェーグレン症候群→ミクリッツ病→シェーグレン症候群の亜型」とされていた考え方が変化し、「ミクリッツ病はステロイド反応性の良い全くの別疾患」になってきたことから、逆説的にシェーグレン症候群の診断を付けることの意義が高まりました悪性リンパ腫の高い合併率長期経過中に約5%合併/通常の16-44倍)も、もちろん診断確定の意義を高めますし、平成27年1月から国の指定難病のひとつになったことも、実臨床では大きな意味を持ちます

 

 

押し付けがましく(^_^;)必要性をお伝えした診断ですが、以下の診断基準が感度も特異度も80~90%と有用です。

 

SS診断

 

すごく分かりやすいっちゃあ、分かりやすいんだけど・・・プライマリ・ケアのレベルだけでは診断できないですね。血液検査以外で頑張ってやれても、せいぜいガーゼを噛んでもらうぐらいかなぁ(´・ω・`) 実際、Up To Dateでも、「シェーグレン症候群を診断する単一の診断基準はないから、シェーグレン症候群に矛盾のない病歴と適切な除外診断をしましょう」という、ある意味“身も蓋もない”書かれ方がされています(^_^;)

 

 

“矛盾しない病歴”ってのも難しいので、とりあえず『口渇の鑑別』を押さえておきましょう。口渇を考えるときは、大雑把に①口が渇いたように感じる(血漿浸透圧上昇、心因性)と②実際に乾いている(唾液分泌量低下)に分けてアプローチします。

 

 ①口が渇いたように感じる

 ・血漿浸透圧上昇:糖尿病

 ・心因性:実際に飲む量+以前と比べての増加量+尿の量と色を確認

②実際に乾いている

 ・薬:抗コリン薬、α遮断薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、利尿薬、抗うつ薬

 ・口腔内からの蒸発:鼻疾患、口呼吸、義歯の着脱

 ・ストレス:自律神経賦活に伴うもの

 ・唾液腺疾患:シェーグレン症候群、慢性耳下腺炎、唾液腺導管閉塞、咀嚼力低下

 

 

あとは、血液検査での勝負ですかね。抗SS-A抗体/抗SS-B抗体が有名で、実際、シェーグレン症候群に対して抗SS-A抗体が約70%、抗SS-B抗体が20~30%で検出、かつ抗SS-B抗体は疾患特異性が高いと言われています。ただ、SS-A抗原が存在する細胞質内からもSS-B抗原が検出されるため、通常抗SS-B抗体自体が単独で陽性となることは稀なようです(大部分のSS-B抗原は核内に存在します)。結局、「抗SS-A抗体陽性のみで勝負!」っていうのが実情になってきますが、抗SS-A抗体はSLEの50~60%、関節リウマチの3~17%、MCTDの10~15%、全身性強皮症の10%、多発性筋炎/皮膚筋炎の5~10%で陽性、かつ健常人でも約1%で陽性になると報告されています。シェーグレン症候群の1/3はSLEや関節リウマチを合併しますし、正直、どう評価するのが正しいのか迷うところです*。

 

*松平蘭:『抗SS-A抗体と抗SS-B抗体』;リウマチ科 Vol.52 No.4 ;P373-376, Oct. 2014.

 

 

管理人が意外に使えるかなって思っているのが『抗核抗体』です。抗核抗体のシェーグレン症候群に対する感度は86%と比較的高いのですが、その高い感度のため「シェーグレン症候群っぽいけど、スクリーングでとった抗核抗体は陰性だし違うか・・・」なんて思考パターンに陥りがちです。そんな時に、ちょっと検査結果のコメント欄を見てみて下さい。『細胞質抗体陽性』って書いてありませんか?抗SS-A抗体は細胞質抗体であることもあるので、仮に抗核抗体が陰性でも、このコメントがあったらシェーグレン症候群の可能性もある訳です(その他、多発筋炎/皮膚筋炎に対する抗Jo-1抗体も同様です)。

 

 

少し煩雑になってしまいましたが、結局のところは「疑えるかどうか」です。口や目の乾燥を訴えられた場合に、乾燥症状である口内炎・味覚障害・嚥下困難・嗄声・齲歯・皮膚掻痒感・目の異物感・コンタクト装着不良などの閉じた質問を行うとともに、関節リウマチやSLEにみられる朝のこわばり・関節痛・筋痛・レイノー現象・末梢神経障害の有無を確認します。その上で、自己抗体を提出して適切に評価する・・・言うは易しですが(–;)

 

SS

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