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年の瀬の風物詩 ―愛すべき“悪ふざけ”(笑)―

年の瀬になっても、まったく冷え込んでくる気配がありませんね。特に、この時期になってもほとんどインフルエンザが話題にならないなんて、管理人は経験がありません。この時期の救急外来の“風物詩”なんですけどね・・・って、流行らないに越したことはないんですが(^_^;)

 

 

さて、この時期の“風物詩”といえば、毎年British Medical Journalの最終号に掲載される『クリスマス特集』です。このブログでも以前に取り上げたことがありますが(近未来のC.difficile治療?!)、こういった権威ある雑誌の“悪ふざけ”――いかにもイギリス的な“wit”で管理人は大好きです(゚∀゚) 多分、普段医学論文に馴染みのない医療者に少しでも医学論文に興味を持ってもらおう、なんて目的もあるんだと思います。もしかしたら、このクリスマス特集への採用だけを目指している先生方もいるんじゃ・・・なんて考えると、さらに楽しい(笑)

 

 

管理人的に今年の“当たり”は、この二つの論文です(^^)/

 

 

『アルカンシエルの呪い』は存在する?

 

世界選手権自転車競技大会のチャンピオンに与えられる『マイヨ・アルカンシエル』というジャージがあるんですが、この栄誉を受けた選手が、何故か翌年に大きく成績を落としたり、レース中に転落事故にあったり、私生活でトラブルに見舞われていることから、『アルカンシエルの呪い』なんて都市伝説的に言われるのですが、実際どうよって検討です。

 

http://www.bmj.com/content/351/bmj.h6304

 

目的:世界自転車競技選手権のチャンピオンが翌年以降に勝てなくなると言われる『アルカンシエルの呪い』の機序を理解すること。

 

方法:1965年から2013年の間、世界選手権自転車競技大会とジロ・ディ・ロンバルディア(こちらも有名な自転車ロードレース)で優勝したプロ選手を登録して比較した後ろ向きのコホート研究。選手が優勝した年をyear 0とし、その翌シーズンをyear 1、翌々シーズンをyear 2とし、レースでの勝利数をアウトカムとして以下の仮説を検証した。

 

  • 『スポットライト効果』:前年度チャンピオンが負けると、より大きく取り上げられる。
  • 『マーク仮説』:優勝者が着るアルカンシエルのジャージが派手なので、他の選手からマークされる(前年度優勝者だから研究されるって意味?)
  • 『平均への回帰』:勝ちやすいシーズンの後は、勝ちにくい。

 

結果:平均して、世界選手権のチャンピオンはyaer 0に5.04回、year 1に3.96回、year 2に3.47回優勝していた。一方ジロ・ディ・ロンバルディア優勝者は、それぞれ5.08回、4.22回、3.83回優勝していた。ともに初年度が最も勝利しやすいことが分かった(勝利比1.49, 95%信頼区間1.24-1.80)。しかし、year 1とyear 2には有意差は認めなかった。

 

結論:世界選手権のチャンピオンは優勝した年よりも翌年、翌々年の方が勝ちにくいという特徴はあったが、『平均への回帰』がもっとも説明のつく仮説であり、恐らく呪いではない

 

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恐怖で「身も凍る」のは本当?

 

英語でbloodcurdlingとは、『ぞっとさせる(ような)』『血も凍るような』という意味なのですが、本当に血が凝結(curdling)するのかという、意外にアカデミックな報告です。

 

http://www.bmj.com/content/351/bmj.h6367

 

目的:中世より、急激な恐怖の負荷は血液を凝固させると言われているが、この真偽について検討する。

 

方法:オランダのライデン大学医療センターの30歳以下の24人の健常ボランティア(生徒、卒業生、職員)を対象としたクロスオーバー試験。参加者のうち14人がホラー映画を観た後に教育的な(こわくない)映画を観る群、10人が教育的な映画を観た後にホラー映画を観る群に割り付けられた。ホラー映画は2010年公開の『インシディアス』、教育的な映画は2014年公開の『シャンパーニュの一年』で、それぞれの上映時間はともに90分。2回目の映画は1週間以上間をあけて同じ時間帯で鑑賞した。臨床的な主要アウトカムは、凝固因子である第VIII因子、D-ダイマー、TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合)、プロトロンビンフラグメント1+2とした。それぞれの映画の15分前に採血し、映画を観終わった後15分以内に2回目の採血をおこなった。セカンダリなアウトカムはどのくらい恐怖を感じたか被験者によるVAS表記とした。

 

結果:映画の前後における第VIII因子値の差は、ホラー映画の方が有意に高かったが(平均差11.1 IU/dL [111 IU/L], 95%信頼区間1.2 to 21.0 IU/dL)、TAT、D-ダイマー、プロトロンビンフラグメント1+2については有意差がなかった。なお、VAS表記では、ホラー映画は教育的映画より平均差5.4(95%信頼区間4.7-6.1)高く、ホラー映画のほうが怖いことがわかった(そりゃそうだ( ̄▽ ̄;))

 

結論:恐怖はトロンビン形成と関係なく第VIII因子の増加させることが分かった。Bloodcurdlingはあながち間違いではない

 

 

いやぁ、素敵な“悪ふざけ”ですね~(*^_^*)

 

 

過去にも『待合室の雑誌が古いことに対する患者の苦情原因のコホート研究』『ボブ・ディランの歌詞はいかに医学論文に引用されているか?』『病棟でのチョコレートの半減期の検討』『ジェームズ・ボンドの飲み物がシェイクなのは,アルコール誘発性振戦だから?』などなど、小難しい(?)医学論文の箸休めに是非どうぞ(´∀`)

 

 

最後に、がっつり公私混同します(笑)。ボブ・ディランが出てきたので、強引に管理人オススメの『クリスマスの隠れた名曲』をどうぞヽ(・∀・)ノ

 

 

一曲目は、論文でも登場したボブ・ディランのノリノリのこの曲!

 

             Bob Dylan-Must Be Santa

 

二曲目はアメリカのクリスチャン・シンガーのマイケル・イングリッシュ(マニアックな選曲でスミマセン(汗))。

 

          Michael English-The Spirit Of Christmas

 

 

次はギターレジェンド、スティーブ・ヴァイのインストロメンタル曲。

 

           Steve Vai-Christmas Time Is Here

 

 

 

最後に、スムーズジャズ/フュージョン界の巨人、ケニーGのロマンチックなナンバーです。

 

        Kenny G-Have Yourself A Merry Little Christmas

 

 

色々なことがあった2015年も、まもなく終わろうとしています。一年間読んでいただいて本当に有難うございました。皆さん、良い年をお迎え下さい。

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