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爪は口ほどにモノを言う・・・かな?

少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もマイペースでブログを更新していきますので、時々覗いていただければ幸いです。

 

 

今年一発目を何にしようか考えたんですが・・・総合診療のブログですし、最初は基本に戻って“身体所見”からいきましょう。今回は『爪の診察』。管理人が駆け出しの総合診療医だった頃、前教授の山中先生が一見全く問題なさそうな初診の患者様の手をとって「肝臓悪いって言われていませんか?」と一言、「そうなんですよ~。今はほとんど治っているんですけど、以前はお酒も結構飲んでて・・・」なんて場面をみて、「総合診療医ってスゲー!」って思った記憶があります。今思えば『Terry’s nails』だったんだと思いますが、こういった知識の積み重ねが、『ドクターG』を作るんだろうな~って思います。

 

 

今回は、全身疾患に伴う爪の変化についてまとめてみますね。これだけ知っていれば『なんちゃって(←死語?)ドクターG』ぐらいにはなれる・・・かも(^^ゞ

 

 

Clubbed finger(ばち指)

 

これは有名ですよね。慢性的な低酸素血症で認め、閉塞性肺疾患でよくみられますが、その他様々な病態(肺膿瘍、間質性肺炎、肺癌、肺高血圧症、先天性心疾患、心内膜炎、炎症性腸疾患、肝硬変、肥大性骨関節症など)で認めます。閉塞性肺疾患患者や長期の喫煙者で突然ばち指をみつけた場合は肺癌が発症している可能性があるので要注意です

ばち指

http://bp1.blogger.com/_jyJg80MtQR0/R75gb786emI/AAAAAAAAAmg/WViVkI3H95c/s1600-h/fingerclubbing.jpg

 

 

Spoon nails(匙状爪)

 

これも有名。多くは鉄欠乏性貧血でみられますが、多血症、甲状腺機能異常、アルカリ性の物質を使う人、指先に圧力がかかる仕事の人なんかにもみられます。蛇足ですが、爪の薄い子供、特に乳児でもよくみる所見です。

Spoon-shaped-nails

http://www.nhs.uk/tools/documents/visual_guides_v2/data/nail_abnormalities/images/Spoon-shaped-nails.jpg

 

 

Terry’s nails

 

爪近位側の爪床が白くなり、かつ遠位側にピンク色~褐色の横断帯を認めるもので、肝硬変、Ⅱ型糖尿病、慢性心不全、慢性腎不全など慢性疾患に伴って出現することがあります。ちなみに、白色部位が爪の半分ぐらいの時はLindsay’s nailと言うそうで、こちらは慢性腎不全での報告が多いようです。

テリーズ

https://www.dermquest.com/image-library/image/5044bfd0c97267166cd63e2a?_id=5044bfd0c97267166cd63e2a

 

 

Onycholysis(爪甲離床症)

 

爪が爪床から剥がれてゆき、剥がれた後の遠位側の肥厚と爪の分離による白色脱色した爪です。甲状腺機能亢進症で有名ですが、低栄養、感染症、膠原病、白癬、テトラサイクリンの副作用などでもみられます。

爪甲離床症

http://www.dartmouth.edu/~thabif/weeklyclinic073001/25Onycholysis.jpg.html

 

 

Splinter hemorrhage(爪下線状出血)

 

ご存じ、感染性心内膜炎でみられることが有名ですが、実際は健常者でもみられますし、乾癬、爪白癬、血管炎、僧房弁狭窄症、髄膜炎菌感染症、旋毛虫症、外傷などでも認めます。感染性心内膜炎に対しての感度は低いのですが、爪の近位端に認めるときは可能性が高くなるそうです

splinter-hemorrhage

http://nursingguides.org/wp-content/uploads/2015/02/splinter-hemorrhage-8-a-foto-480×342.jpg

 

 

Yellow nails

 

大部分はタバコや薬剤(ブシラミン、金製剤)なんですが、それ以外にも爪白癬、爪乾癬、掌蹠膿胞症でも認めます。また、稀な疾患なんですが『黄色爪症候群』というものがあり、爪の成長遅延による黄色爪、リンパ管浮腫、呼吸器病変(特に胸水貯留)を認める原因不明の疾患です。

イエローネイル

http://evb.solapo.com/img/i445.jpg

 

 

爪乾癬

 

皮膚症状や関節炎をきたす乾癬ですが、爪の変化もよくみられます。点状陥凹、爪肥厚、爪甲剥離、爪混濁などを認めます。これらが混在するときは爪乾癬“らしい”のですが、点状陥凹は膠原病、反応性関節炎、サルコイドーシスなど、関節炎を起こしうる疾患でも認めることがあります。

乾癬

http://www.dermis.net/bilder/CD004/550px/img0041.jpg

 

 

爪上皮内出血点

 

強皮症にみられる爪根部の黒褐色の微細な点で、ルーペで拡大すると上皮部分でUターンする微小血管の出血を認めます。MCTD、皮膚筋炎、SLEなどその他の膠原病でも認めますが、単に末梢血管の異常を示す兆候なので、膠原病に特異的な所見ではありません。

強皮症

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s1_q10.html

 

 

爪には時々線も入りますよね。『ライン・シリーズ』も覚えておきましょう。

 

 

Beau’s lines

 

爪の成長阻害による、すべての爪甲のほぼ同じ位置に横走する線条の溝を形成するものラインです。重症疾患で認めることがあり、爪が6~10日で1mm成長することを利用すると、爪根までの距離からある程度罹患時期を予測できます。ただ、ちょっとしたストレスでも出ますよね。

ボー線

http://images.nailsmag.com/post/M-NA1108disease-beaus.jpg

 

 

Muehrcke’s lines

 

複数の白色の横断線を、すべての指に認めます。一見Beau’s linesのようですが、これは爪床の変化ですので、爪の成長で移動しません。肝硬変、ネフローゼ症候群、低栄養など低アルブミン血症で認めます。

Muehrcke's_lines

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/90/Muehrcke’s_lines.JPG

 

 

Mees’ lines

 

横に向けて横断する、比較的目立つ白色の線です。ヒ素中毒、ホジキンリンパ腫、化学療法、マラリアなどでみられます。

Mee's lines in a chemotherapy patient

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fd/Mee%27s_lines.JPG

 

 

爪甲白斑症

 

様々な指にバラバラにできる白斑や白線で、外的な圧力により生じます。もちろん病気ではありませんが、上記の病的なラインとの鑑別として頭の片隅に置いておいて下さい。

爪甲白斑症

http://healthil.jp/15562

 

 

きりが無くなりそうなのでこの辺で止めておきます(^^;)

 

 

これらの所見の多くは、感度や特異度などの診断特性につき検討がされていませんし、何よりしっかりと病態が分かっている所見もほとんどありません。仮にこれらの所見を見つけても、実際の診断に結び付くことは少ないかもしれません。でも・・・診察のために必要な時間は数秒!値段はタダ!費用対効果は抜群です(^o^)丿☆ しかも、その患者様は恐らく今まで一度も指の診察なんて受けていないと思いますし、そこで「もしかして、○○なんじゃないですか?」なんて言われたら、例えそれが間違っていたとしても、「お、この先生もしかして凄いかも!?」って思って貰える・・・かもしれません。何より、爪の診察をするってことは、その患者様の手をとっている訳です。親身になって診ている姿は、きっと患者様からの信頼に繋がるハズです(^-^)

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