Home > ブログ > 「メンタルかねぇ~?」のその前に!

「メンタルかねぇ~?」のその前に!

前回「風前の灯」みたいな書き方をした『新内科専門医制度』ですが、どうやら予定通り始まるようです。・・・前回のブログ、完全にフライングでしたね(*_*; ただ、やはり不安要素を抱えていることに変わりはありません。この制度に関わる方々は、是非最新の情報をチェックしておいて下さいね。

 

 

今回のお題は『副腎不全』です。「もしかして副腎不全合併してない?」なんてセリフ、症例検討会ではしょっちゅう出てきますよね。ただ、このセリフって、意外に根拠なく言われていることも多いんじゃないかと思います。何故なら、副腎不全はとにかく漠然とした症状で出てくることが多いからなんです

 

 

一口で副腎不全といっても、一般外来と救急外来のセッティングではアセスメントも違いますので、とりあえず今回は一般外来でのセッティングでまとめてみます。

 

 

副腎不全自体は10万人に5-14人程度と決して多くはありません。原発性副腎不全の原因の約80%は自己免疫性で、慢性甲状腺炎1型糖尿病副甲状腺機能低下症・自己炎症性肝炎・白斑症・悪性貧血・性腺機能低下症・脱毛症・カンジダ症などなど、合併症だらけです。ま、このあたりの検索は専門科に任せましょう(‘ω’)ノ 非専門医にとって大切なのは、残りの20%の原因疾患。一番多いのは結核性で、それ以外は転移性腫瘍、副腎出血<<アミロイド―シス、サルコイドーシス、ヘモクロマトーシス、播種性真菌感染症、AIDS患者におけるCMV感染症、梅毒ゴム腫などです。頻度的にはやはり結核性副腎不全を押さえておく必要があります。結核罹患の32±15年後に発症し、副腎の石灰化(67.9%)・腫大(60.9%)を認める場合が多いことが、特発性との鑑別点です(ジェネラリストのための内科診断リファレンスP337より)。ただ、実際の臨床現場ではステロイド投与による医原性副腎不全の頻度が一番高いと思いますし、それが内服に限らず外用薬でも起こり得るのはピットフォールです

 

 

押さえておくべきは症状でしょう。前述したとおり、副腎不全の症状は倦怠感、食欲低下、意欲低下、嘔吐、疼痛など、漠然としたものばかり、むしろこの『何が何だかよくわからない感』が、副腎不全の代表的な症状と言えるのではないでしょうか。具体的な症状は以下の通りです。

 

副腎不全1

 

これは、原発性副腎不全99例、 二次性副腎不全117例の症状を解析したものです。やはり漠然とした症状が多いようですが、色素沈着や塩分渇望を認めれば、かなり高い確率で原発性と言えそうです

 

また、同じ報告では『仕事状況の変化』にも注目しています。

 

副腎不全2

 

1/4の退職率は、かなり高いのではないでしょうか。こういう患者様に「うつ病ですね~」なんて言っちゃってるかもしれませんね(/ω\)

 

 

血液検査で有名なのは低ナトリウム血症、好酸球増多、低血糖などですが、実際の感度は意外に低いようです。

 

副腎不全3

 

やっぱりコルチゾールの解釈ということになりますね。一般的には前日夜から絶食していただき早朝6~8時の血中コルチゾールと一次性・二次性の鑑別目的でACTHを測定します。193名の副腎不全疑い患者(そのうち最終的に60名が副腎不全と診断)に対する早朝コルチゾールの評価は以下の通りです。なお、アルブミンの値が低い場合はコルチゾールへの結合蛋白が減少するため、見た目には低値を示すことは要注意です。

 

ず

 

さて、こちらもよく話題になるACTH負荷試験(rapid ACTH test)。コートロシン®250μgを静注し、30分もしくは60分(なんかアバウト💦)のコルチゾール値を測定します。結果の解釈は以下の通りです(ちなみに、負荷後の上昇が9μg/dL未満なら相対的に副腎不全と評価する方法もありますが、実際は明確な報告はないようです)。

 

副腎不全4

 

原発性の場合の陽性尤度比が飛びぬけていますね!除外も含めて、原発性ならかなり有用なツールと言えそうです。二次性でもそれなりに使えそうですが、強いストレス負荷のかかった状態(敗血症でのコルチゾール値の平均は45μg/dL)ではそもそもコルチゾールの値は高値ですので、“<20μg/dL”というカットオフ値は使えません。

 

 

最後に治療も少しまとめておきましょう。もちろんステロイドの補充になります。一般的には半減期の短いHydrocortisone(コートリル®)を用いますが、二次性副腎不全で鉱質コルチコイド分泌に問題ないような例では鉱質コルチコイド作用が少ないプレドゾロンも選択肢となります。初期投与量はコートリル15-25mg/日を2−3回に分けて投与します。電解質異常や起立性低血圧のある患者にはMeneralocorticoid (フロリネフ®)を 0.05-0.2mgを1日1回投与しますが、下腿浮腫の出現や血中レニン活性低下を認めることがあり、定期的なモニタリングが必要になります。

 

 

診断に困ったときはもちろん、「不定愁訴ばっかりだなぁ~。メンタルか?」なんて思った時には是非「もしかして副腎不全なら説明がつくかも・・・」と思って下さい。

 

 

急性副腎不全(副腎クリーゼ)への対応はまた別の機会に・・・。

 

副腎犬

 

 

Home > ブログ > 「メンタルかねぇ~?」のその前に!

メタ情報

Return to page top