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呼吸器疾患へのアプローチ

第五回ジェネラルマインド医師養成セミナーに行ってきました。今回の講師は沖縄県立中部病院の喜舎場朝雄先生でした。管理人、失礼ながら喜舎場先生のお名前は聞いたことがあったのですが、実際に講演を聴くのは初めてでした。・・・いやぁ、一発でファンになっちゃいました。宮城征四郎先生の門下生であり、physicalを非常に重要視されている姿勢には憧れるばかりです。今回は第1部で気管支喘息やCOPDを中心とした講演、第2部では『外来診療における呼吸器疾患のピットフォール』と題して、名古屋大学総合診療部の鈴木富雄先生との討論会という構成でした。ボリュームたっぷりだったので、ポイントだけ。

<第1部>
 起坐呼吸は臥位になり1分未満で出現し、枕を高くしたくなる。仰臥位のまま改善するのは肺高血圧症の可能性。胸部をどんな高さにしても改善しないときは、著名なVCの低下や、重度の僧帽弁狭窄を疑う
 Trepopnea(片側臥呼吸)は大量胸水・大きな気胸を意味し(健側を下にすると楽になる)、Platypnea(扁平呼吸)は心内シャント、換気血流不均衡、肝硬変、心外膜炎、腸閉塞を示唆
 典型的な夜間呼吸困難は①就寝後2~4時間に出現(水分の再分布で左房内圧を上昇させるには2~4時間必要なため)、②座位にて下肢を楽な肢位にして改善する、③水分が組織に返る時間である10~30分程度で改善、④咳・喘鳴・ピンクの泡沫状の喀痰(特異度が高い)
 顔面浮腫は肺性心を来す人で活発な人、慢性腎不全でみられ、下腿浮腫は左心不全、Ⅱ型呼吸不全、甲状腺機能低下症でみられる
Slow edemaはpittingが1分以上持続(うっ血が主体)Fast edemaはpittingが40秒未満で消失(最近発症の低アルブミン血症)
 Pittingがあれば、およそ4.5kgの体重過剰
 喘息の気道過敏性の質問は「風邪で咳が長引く?」「時間をおいて飛び飛びで出る?」
職場環境で気管支喘息が悪化する患者が一般に21.5%いる。また、肥満のある女性は気管支喘息の危険因子(オッズ比1.52)
 喘息診断での質問事項:①発作性の喘鳴(単発性・反復性)の経験、②夜間に強い咳、③運動後(15分以上)の咳または喘鳴、④吸入アレルゲンまたは汚染物質への暴露後の咳・喘鳴・胸苦しさの出現、⑤風邪罹患後の胸部症状の出現または回復遅延(10日以上)、⑥抗喘息薬への反応が良好
 気管支喘息の理学所見は本人の好きな体位をとってもらう。会話の状況、汗(CO2貯留の可能性)の確認、急性期なら胸鎖乳突筋を有意に使用(肥大はナシ)、聴診でpoly phonic wheeze(色々なレベルでの病変を反映し、色々なピッチのwheezeを聴取)、原則として浮腫は認めない
 重症度の評価はACQ5を利用
 喘息死の危険因子として大切なのは①過去に重責発作の既往、②過去1年以内の入院や複数回ER受診、③精神科患者の喘息発作
気管支喘息の鑑別疾患は、咳喘息、アトピー性咳嗽、副鼻腔気管支症候群、好酸球性気管支炎、声帯機能不全
COPDはとにかく喫煙!5つのA(Ask,Advise,Assess,Assist,Arrange)と5つのR(Reason,Risk、Rewards,Roadblock,Repetition)で、6ヶ月後の喫煙率は4倍に上昇
 母親が1日10本喫煙すると子供がCOPDになるリスクが1.7倍となり、子供が10年喫煙するのと同じレベルの気流制限をきたす
 1秒率は健常人で25~30ml/年のペースで低下するのに対し、COPD患者では45~55ml/年のペースで低下
 COPDの臨床症状は湿性の慢性咳嗽(咳嗽発作で夜間起きることは少ない)、起床時から午前中の粘性痰(悪化時に膿性痰)、労作時呼吸困難(安静で軽快)、直接刺激による気道過敏性
 慢性呼吸困難の評価はMRCで(Hugh-Jones分類はほとんど使われていない)
 COPDは安定期でも20~25%は栄養不足。しかも自覚なし。低栄養は独立した危険因子
COPDの鑑別疾患は気管支喘息、うっ血性心不全、気管支拡張症、結核、閉塞性細気管支炎、び慢性汎細い気管支炎
 酸素投与は安静時または軽度の活動で低酸素血症のある患者で有効。口すぼめ呼吸も呼吸困難の緩和に有効。オピオイドも適切に使えば有効
 気管支喘息の約90%は6時間以上たってからERを受診するのに対し、COPDはそれより短時間で悪化する傾向がある
 Overlap syndromeとしてCOPD+OSAは重要

第1部の要点だけなのに、ポイントだらけ(+o+)!でも、この勢いで第2部に突入!

<第2部>
Q1. 喘息やCOPDの吸入はどう使い分ける?
 やっぱり使いやすいのはアドエア。急性期はメプチン。クリックヘラー付きの方が使いやすいかも
 シムビコートはアドエアをしっかり使っているけどイマイチな人。気管支拡張作用が比較的早く出るので、急性期でも使える
 COPDに使うなら抗コリン薬のスピリーバが主流。ダメならホクナリンテープ追加だが、エビデンスはイマイチ(日本と韓国ぐらいしか使っていない)。それでもダメならアドエアなどの合剤や仕方なくステロイド内服だけど・・・左心不全やGERDなどの併存症の可能性を考える。

Q2. 胸部疾患以外でフォロー中の患者さん。胸部XPは定期的にとるべき?
 やっぱりケースバイケース。高齢者、あるいは40歳以上+男+20年以上の喫煙なら年に1回以上。ほとんどリスクがなければいい・・・かな?
 糖尿病は肺癌発症のリスクを少し上げるので撮影してもいいかも。
 陳旧性結核の局所的な炎症部位や間質性肺炎の線維化の強い部分は肺癌の発症する可能性があるので画像でのフォローが必要

Q4. ターミナル患者の呼吸困難への対処法は?
 実際のところ正解なし。オピオイドもありだし、ステロイド(リンデロンなど)もあり。セデーションも間違いじゃない。
COPDの人で扇風機は効果的!肺癌の人は扇風機で後ろから風を送ると頬の三叉神経の呼吸受容体が感知して呼吸苦が軽減する。

Q5. 日常診療で大切な身体診察は?
 呼吸器感染→必ず口の中を確認(誤嚥性肺炎と歯槽膿漏の原因菌はほぼ一緒)
胸鎖乳突筋の発達は閉塞性肺疾患を、中斜角筋の発達は拘束性肺疾患(間質性肺炎や結核後遺症)を考える
 COPDでは肺の過膨張で下に引っ張られるため、首が短くなる
肺炎患者においてholo inspiratory crackleは細菌性肺炎に対して、late inspiratory crackleは非定形肺炎に対して、共に80%以上の感度・特異度をもつ
 バチ指はCOPDと結核後遺症ではまず出ない。COPD+バチ指なら肺癌を考える!

いやいや、本当にボリュームたっぷりのレクチャーでした。やっぱり、physicalからアプローチできる医者ってカッコいいなぁ~

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