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「脳梗塞は得意!」・・・って言ってみたい(~_~;)

当院では、毎週水曜日の朝8時より、内科系の科を中心としたモーニングレクチャーが開催されています。各科の先生から救急外来で役に立つ知識や、他科の先生にも知っていてもらいたいことなどを分かりやすくレクチャーしていただく、非常に有意義な勉強会です(朝ごはんも出るし(#^.^#))。

今回は、神経内科の伊藤信二先生からの『こんな症候に要注意!―ERで見落とされやすい脳梗塞』というタイトルのレクチャーでした。これが本当に良かった!「そうそう、そういうことが聴きたかった!」という、“痒い所に手が届く”レクチャーでした。復習がてらポイントをまとめておきます。

 TIAはT:大変だ、I:今すぐ、A:危ない!一時的に片側の視野が暗くなる×反復=同側内頸動脈起始部閉塞の典型的な症状(動脈原性塞栓症の代表格)。感覚障害の有無が重要。椎骨動脈閉塞はふらつき、複視、構音障害、嚥下障害などの組み合わせパターン(起立歩行障害が重要)。
 明らかに頸動脈の雑音があれば超緊急!
 意識障害のみ、両下肢脱力、尿・便失禁、けいれん、障害部位の移動、起立・歩行障害を伴わない目眩、両側同時の視力障害、四肢末梢優位の感覚障害・しびれ、健忘のみ・・・これらは全部TIA否定的!
TIAを疑えば、可及的速やかに発症機序を確定し、脳梗塞発症予防の治療を直ちに開始しなければならない(脳卒中ガイドライン・グレードA)。48時間以内の再発防止には、160〜300mg/日の投与(グレードA)。非心原性TIAの再発予防はアスピリン(75〜150mg)、クロピトグリル(75mg/日)。とにかく、脳梗塞と変わりなし(MRIを撮らない限り診断はできない。持続時間も関係なし!
 TIA発症90日以内の脳梗塞発症例のうち、約半数は48時間以内に発症(メタアナリシスによると、TIA発症後90日以内の脳卒中発症の危険度は15〜20%)。だから大切“ABCD2スコア”

 BAD(branch atheromatous disease)は歩いて来院、予後不良。何となく片側の違和感(walk inで来院)→完全麻痺で救急搬送!しかも治療抵抗性。
 主幹動脈から直接分岐する一群の穿通枝が、主幹動脈のアテローム硬化にともない閉塞(このような血管構造は中大脳動脈水平部脳底動脈)。
 テント上BADはレンズ核線条体動脈領域梗塞。最初は内包後脚〜放線冠のラクナ→5mmスライスのDW1で3スライス以上に拡大
 テント下BADは傍正中動脈領域梗塞。前後に長く、後ろに広がり増悪する。

 まっすぐ立てない、歩けないのは小脳梗塞やWallenberg症候群。起立・方向転換時のめまい感・ふらつき、階段の下りにくさなど。もちろん継ぎ足歩行は不能。
小脳半球の後下小脳動脈領域の限局性梗塞では、しばしば症状が起立・歩行不安定のみ(四肢症状や指鼻試験もなし!)で受診することあり
 心原性梗塞症を見落としたら、出血性梗塞→脳幹圧迫→呼吸停止?!
 Wallenberg症候群で、当初ふらつき、めまい感しか訴えないことも。痛覚の左右差を確実に評価する必要あり!

 手指の細かい動きが不自由になるのは大脳皮質下小梗塞の可能性。顔面・四肢の限局性麻痺を呈し、末梢神経障害との鑑別が困難。感覚障害を伴わず、随節性、末梢神経性分布を呈さないことがポイント。
 頭部CTで確認するのは難しく、急性期拡散強調画像でしか検出できないことも。
 心原性梗塞症で、当初ICA〜MCA主幹部が閉塞後、血栓が破砕して末梢に移動した場合は、重篤かつ広範な片麻痺が急激に起こる可能性あり(少しでも麻痺が残存していたら要注意!
 手掌・口症候群は対側視床病変によるものが有名だが、中心後回(感覚野)深部や脳幹部でも生じる可能性がある。

 Broca野が傷害される運動性失語は運動麻痺を伴うため診断しやすいが、言語理解の障害(感覚性失語)は診断しにくい(しばしば家族が『認知症』と訴える)。
 失語の評価は身振り手振りを交えず、口頭指示でのみ行う(自分の言葉をマネさせない)。「左手の人差し指で自分の鼻を触って下さい」→手指失認の評価もできる。発後の評価は氏名・出身地や「めがね」「とけい」など間違えないもの。復唱は「いぬ」「ねこ」「ねずみ」「いのしし」「しんぶんし」「ぬかにくぎ」「とうふにかすがい」「うまのみみにねんぶつ」と、短い単語から、次第に音節・文を増やしていく(深部の病変があるとできない)。

うん、すごく実践的でした。朝の30分でこれだけの知識を得られて大満足です。2月には当科も行いますのでお楽しみに

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