Home > ブログ > 『咳』を制する者は『冬の救急』を制する・・・かも

『咳』を制する者は『冬の救急』を制する・・・かも

今回もAカンファに多数参加して下さって有難うございます。今回は『咳』を扱いました。今の時期、救急外来には溢れていますよね〜。もちろん、一般外来にも沢山来院されます。系統立ててアプローチする方法を身に付ければ、貴方の“ジェネラリスト・パワー”もワンランクアップしますよ。

 

・咳の受容体である迷走神経知覚受容体は下気道以外にも耳管、副鼻腔、鼻、喉頭、気管、気管支、胸膜、心外膜、横隔膜、食道、胃と広範囲に存在するため、これらの部位の疾患は「咳を主訴に受診する可能性がある」ことを常に意識する(特に注意すべきは「心外膜炎」と「胸膜炎」)。
・他の主訴と比べて『時間軸』を中心としたアプローチが重要
『気胸』『気道異物』『肺塞栓』は急性咳嗽の中で見落とし厳禁!
・急性発症の胸痛、呼吸困難、咳嗽+患側胸部で呼吸音の減弱で『気胸』。聴診で拾えないような段階でも、鎖骨を直接打診すると気胸側の肺の鎖骨でよく響くことあり(hyperresonance)。
・『気道異物』で意識があればハイムリック法、意識がなければ背部叩打法
・『肺塞栓』は訴訟多い!診断に結びつけるのに十分な感度・特異度を持った身体所見はなく、心電図のS1Q3T3も単に急性肺性心を示唆するだけ。『急性発症の呼吸不全があるにも関わらず胸部レントゲン写真に大きな異常がない』ときに本症を疑う。
・Wells criteriaは絶対抑えておくこと。D-dimer(感度84~100%、特異度25~80%、LR‐0.08)は検査前確率が低く陰性の時にrule outに利用できるが、特異度の低さから確定診断には使えない
・ACP(American College of Physician)のポジションペーパーからは「急性鼻・副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎以外のかぜは全て鼻炎症状、咽頭炎、下気道症状の3症状が同時に同程度に存在する」ということが読み取れる。
・『結核』はどんな状況でも見落とせない疾患!ハイリスク群(体重減少、盗汗、医療関係者、老人ホーム、途上国、漫画喫茶、HIVなど)が持続する咳を来せば・・・いや、どんな患者さんでも一度は疑え!
・初感染結核の読影ポイントは①初期変化群である初感染原発巣の進展による肺実質病変、②胸膜炎、③所属リンパ節病変の進展による肺門および縦隔リンパ節炎、④肺門リンパ節病変の気管支への穿破、⑤粟粒結核(縦隔リンパ節→静脈角リンパ節→静脈系)が所見の一つ、あるいは組み合わさってみられる。二次性結核はtree-in-bud pattern
ツ反の感度は高いので、どんどん利用しようQTFはあくまで潜在性結核のスクリーニングで有効な検査(結核が疑わしい患者の確定/除外診断には使えない)。
・COPDは身体所見(気管短縮 、胸鎖乳突筋肥大 、鎖骨上窩吸気時陥凹 、外頸・内頸静脈の呼気時怒張 、吸気時虚脱 、Hoover徴候などを確認。急性増悪は、全例レントゲンぐらいのつもりで
・COPD急性増悪の原因はやはり感染が多い(60%)が、実は10%程度肺塞栓の可能性あり。感染の場合、実は緑膿菌の関与は少ない。うっ血性心不全、気胸、気管支喘息、肺塞栓は除外すること。治療の基本は“ABC”アプローチ(antibiotics, bronchodilators, corticosteroids)
・気管支喘息診察のポイントは、胸部聴診時に強制呼気をさせ、呼気終末のわずかな喘鳴も聞き逃さないこと。β2刺激薬吸入前後でPEFが20%以上変動した場合は、早めの呼吸器内科受診を。
Wheezingと Stridorの両方を聴取するのは『気管支痙攣+声門浮腫』のアナフィラキシーの可能性大!
高齢者で初発の喘息様発作をみたらまず心不全を疑うこと!
・後鼻漏、咳喘息、胃食道逆流症、ACE阻害薬誘発咳嗽なども頻度の高い疾患。いずれの病態も鑑別に必要なのは詳細な病歴聴取。「鼻汁が喉に降りてきていないか」、「アトピーの素因はないか」、「症状に季節性はないか」、「胸焼けや胃酸の逆流はないか」、「体位により増悪しないか」、「降圧薬は飲んでいないか」などの問診により、多くの病態は鑑別可能。
・実は副鼻腔炎を治しても後鼻漏は治りにくいし、胃食道逆流症の咳にPPIを投与してもあまり治らない。
・8週以上続く慢性咳嗽は、原因としてまず喫煙(受動喫煙も)とACE-Iを否定。原因不明の場合、eosinophilic(喀痰で3%以上)とnon-eosinophilicに分ける。eosinophilicならプレドニン30mg2週間が有効。Non-eosinophilicではプレドニンは無効。喫煙、ACE-I、eosinophilic airway disease以外では咳治療は難しい。鎮咳剤で比較的効果があるのはメジコン(コデインより)。

・タミフルは平均治癒期間を4.9日から3.6日に29.1時間短縮する・・・程度。抗インフルエンザ薬で症状が治まっても①感染期間(発症後5日間)は休ませる、②予防のため、マスク・手洗いを指導(トイレ後、子供との接触時,電話・パソコン使用時など)、③感染者を高齢者に近づけない!
・リレンザ、ラピアクタ、イナビルは上手に使い分けよう。麻黄湯や柴胡桂枝湯も有効。
「風邪ですね」と患者さんに言う前に「本当に風邪?」と自分に問いかける

 

あと、以前南江堂から出版された『内科』増大号 Emergency 実践ガイド(2009年6月)に書いた『急性咳嗽の診断アルゴリズム』を載せておきますね(この本、いい本だから一度読んでみて下さい)。

 

寒い日が続きますが、みなさん風邪などひかないよう気を付けて下さい。もし風邪をひいちゃったら・・・「本当に風邪?」って思わなくちゃね(・∀・)

Home > ブログ > 『咳』を制する者は『冬の救急』を制する・・・かも

メタ情報

Return to page top