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敗血症ならステロイド?

最近更新が遅れ始めているような・・・ま、気にせずいきましょう(・∀・)
 

今回は敗血症におけるステロイドの是非です。『敗血症では相対的に副腎機能が低下するから、不足分のステロイドを補っておきましょう』という発想で、理論的には正しそうですが・・・実際のところどうなんでしょう。
 

敗血症に対するステロイド大量投与の大規模なRCTは、1980年代からちらほら見られます。この時代のスタディは、投与直後のバイタルサインはある程度改善するものの、死亡率に差はない(もしくは死亡率がステロイド投与群で高くなる)という結論が大半で、ステロイド投与の有効性は否定されていました。1990年代前半にはBriegel1)やYildiz2)により少量ステロイド投与を検討した報告がありましたが、やはりショック離脱率、死亡率ともに有意差は認められていません。
 

ステロイド投与の確実な有効性が初めて報告されたのは、Bollaertらによる1998年の研究です3)。敗血症性ショックの患者41人に対しヒドロコルチゾン100mg×3/日を5日間投与した群と、プラセボ群を比較したスタディでは、7日目までのショック離脱率(68% vs 21%)、28日間の死亡率(32% vs 63%)ともにステロイド投与群で有意な改善が報告されています。その後、2000年代初頭の報告でも類似の報告がされたため、2004年に発表された『Surviving Sepsis Campaign Guideline (SSCG) 2004』では、敗血症性ショックに対して200〜300mg×7日間のヒドロコルチゾン投与が推奨されました。
 

しかし、2008年にAnnaneらによって報告されたCORTICUS study4)により、ステロイド有効論は揺らぎ始めました。これは輸液や昇圧薬に反応しない敗血症性ショック患者500人について検討したもので、発症72時間以内にヒドロコルチゾン50mg×4/日を投与された群とプラセボ群を比較した群では、死亡率に有意な差を認めませんでした。この結果を踏まえ、SSCG2008でのステロイドの推奨度はGrade 2Cと低いものになっています。また、この報告ではACTH負荷試験に関しても検討されており、『ヒドロコルチゾン投与の必要性を決める上でACTH負荷試験は必須でない』と報告しています。
 

なんとな〜くステロイド投与に対して逆風が吹き始めていますが、実際の臨床現場では「どんだけ負荷しても昇圧剤使っても全然ダメだぁ!」なんてことはしょっちゅうありますので、投与する際の投与法は抑えておく必要があります。SSCG2008ではヒドロコルチゾン300mg/日を超えないこと(1A)を推奨している他、血糖値の変動の少なさから100mg静注後に240mg/日の持続投与(1B)も勧めています。中止の仕方に関しての明確な報告は現在のところなく、昇圧薬が必要なくなったら漸減すること(2D)となっています。
 

という訳で、医療でありがちな「結局どっちやねん!」の段階な訳です。患者様の予後に直結する非常に重要な話題ですし、今後も可能な限りアップデートしていきますね。
 

1) Briegel J, Forst H, et al. Stress dose of hydrocortisone reverse hyperdynamic septic shock: a prospective, randomized, double-blind single-center study. Crit Care Med 1999; 27: 723-32.
2) Yildiz O, Doganay M, et al. Physiological-dose steroid therapy in sepsis. Crit Care 2002; 6: 251-9.
3) Bollaert PE, Charpentier C, et al. Reversal of late septic shock with supraphysio hydrocortisone. Crit Care Med 1998; 26: 645-50.
4) Sprung CL, Annane D, et al. Hydrocortisone therapy for patients with septic shock. N Engl J Med; 358: 111-24.

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