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インフルエンザの季節です

寒さも深まるにつれて、インフルエンザが急に増えてきた印象があります。昨日も当直先の病院で数人の患者様がインフルエンザ陽性でした。まぁ、陰性の患者様にもタミフル®は投与しましたが・・・ん?それじゃあ検査している意味がない?確かにそうですね。

 

実際、インフルエンザ迅速検査がどの程度の感度なのかは報告によりまちまちですが、PCR陽性症例を対象にした最近の報告では、6時間未満で50%、6~12時間未満で70.6%、12~18時間未満で75.9%、18~24時間未満で95.5%、24~48時間未満で87.5%となっています。年々検査の精度が上がってきていますが、やはり「発症直後の検査はあまり意味がない」といった従来の印象と変わりがなさそうです。じゃあ、それ以降の時間で検査が必須かと言われると、少し疑問です。その検査が優れた検査かどうかの判断は、『推定された検査前確率をどれだけ高められるか』にかかっています。そう考えると、熱源検索のために行うならまだしも、検査前確率の高い患者様(12月の救急外来で、普段元気な人が急に40℃近い熱を出し、全身の筋肉痛を認め、さらに周囲の人がインフルエンザで・・・みたいな人)に行うことはあまり有用とは言えません。さらに、以前はインフルエンザA、Bの判断が治療方針を左右していましたが、現在多くのシェアを占めているタミフル®などはインフルエンザA、B両方に効果がありますので、迅速キットの有用性はますます低くなっていると言えるでしょう(実際、厚労省のインフルエンザ診断基準でも『症状が典型的であれば、検査が陰性でもインフルエンザと診断してもいい』となっています)。

 

ちなみに、検査は鼻腔のぬぐい液が使われますが・・・あれ、痛いでしょ?私も研修医の時に「鼻血がでるぐらいやって、初めて意味がある」みたいなことを言われた記憶があります(今思えばヒドイ指示ですね(・_・;))。実際に大切なのは“接触時間”です。検査用の麺棒をやさしく鼻腔の中に入れて、止まったところで手を離して10秒。もちろん、鼻血が付いている必要はありません(^^ゞ。しかも、鼻をかんだ液で提出しても、陽性率はほとんど変わりません。

 

さて、治療です。これも研修中は「インフルエンザ、はいタミフル®」みたいな“馬○の一つ覚え”だったのですが、最近は色々なオプションがついてきました。患者様の状況によって使い分けましょう。

 

・タミフル®:健康な人に48時間以内に投与すると①有症日数を4.9日→3.6日に短縮(補菌期間は短縮しない)、②合併症の減少報告なし、③死亡率低下の報告なし、④他者への感染を減らす報告なし、⑤腹痛・嘔気・下痢の副作用あり。 適用上はA型・B型両方に使用可能ですが、その根拠となる文献ではB型のインフルエンザ患者はわずか3%程度しか含まれていません。

・リレンザ®:吸入インフルエンザ薬で、以前は内服できない人の唯一の選択肢。呼吸器症状の抑制効果も報告されています(ただし、小規模スタディ)。ラピアクタ®登場により出番が減っていますが、タミフル®耐性インフルエンザにはまだまだ有効 。

・ラピアクタ®:唯一の注射剤形ノイラミニダーゼ阻害薬で臨床効果はタミフルと同等。もともとはアメリカの薬なんですが、アメリカよりも先に、かつ色々な審査をすっとばして登場した不思議な薬です(エビデンスの蓄積はこれからですので、使えるならタミフル®を使う方がいいかも)。

・イナビル®:吸入ノイラミニダーゼ阻害薬。持続時間が長く、一回吸入で5日間薬効が持続。やはり効果はタミフル®と同等。吸入手技がやや煩雑なので、小児や高齢者では選択しにくい。

・シンメトレル® :安価なA型用治療薬だったが、中国で政府が大量に配布したアマンタジンを“予防として”鶏の餌に混ぜる行為が行われ大量消費された結果耐性化が進行してしまった。

・麻黄湯:悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないもの(インフルエンザの初期)に有効。また、タミフルと同じ程度の症状軽減効果があるという研究報告もある。

・柴胡桂枝湯:発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、吐き気のあるものに有効

 

あとは罹患中の注意事項もしっかり伝えておく必要があります。

・暖かい場所で安静にして、水分を十分に摂る。身体を冷やさない
空気の乾燥に気をつける。マスクを着用するなどの方法で喉の湿度を保つことが重要。
・外出は避ける。うつす/うつされる機会をなるべく減らす。
インフルエンザウイルスは熱に弱いので、微熱はあえてとる必要はない(熱が高く苦しい場合などには適宜、解熱剤を使用する)。
・食事が摂取できないなどの場合は補液が必要となるので、医療機関を受診する。

 

年末年始は救急外来が“戦場”になると思います。研修医のみなさん、インフルエンザには十分注意して下さいね。それでは、よいお年を・・・。

 

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