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『生涯発達』

私は早く死にたい。私は老人になりたくない。(byバイロン)

人は信念とともに若く、疑惑とともに老いる。人は自信とともに若く、恐怖とともに老いる。希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる。(byサミュエル・ウルマン)

 

『老い』という言葉には、どこかネガティブな響きがあります。実際に大辞林にも「年をとって心身が衰える」という、身も蓋もない書かれ方がしています。確かに、身体機能が落ちるのは仕方がないことです。体力は落ち、足腰は弱り、多かれ少なかれ病気にかかります。でも心が衰えるというのは・・・何かしっくりきません。

 

老年は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広くなる。(byイングマール・ベイルマン)

夕映えが美しいように、老人の場所から見た世界は美しいのです。(by伊藤聖)

 

人間の感性は経験とともに磨かれていきます。その成長に体力は必要ありませんので、心は生涯成長を続けるのです。こういった概念は、心理学で『生涯発達』と呼ばれ、老年期においても発達課題が必要であると考えられています。ただ、医療が発達し『老い』を感じる期間が長くなるにつれ、身体的な衰えを受け入れながら『生涯発達』を果たすことは決して容易なことではありません。

 

老人になって耐えがたいのは、肉体や精神の衰えではなくて、記憶の重さに耐えかねるのである。(byサモセット・モーム)

 

『老い』により蓄積された経験は、若い世代に受け継がれることにより益々輝きを増します。身体的に衰えても、蓄積された経験により『存在することの充足感』を得ることができます。・・・いや、出来ていたんです。今までは。現代社会は、『身体の衰えを心の発達で補いにくい時代』になっていると感じずにはいられません。身体的な衰えは、自らの存在意義を不安に思わせます。その結果どうなるか・・・無理をするんです。不安な存在を打ち消すために。「自分はまだ出来るんだ」「こんなことで頼ったら迷惑だ」と思うことにより、身体的な衰えを隠して頑張ってしまうんじゃないでしょうか。その結果、病気になっても頑張ってしまい、周りが気付いた時には大変な状態になってしまう・・・『高齢者が増えることで医療が破綻する』というのは一つの事実だと思います。でも、個人的には『蓄積された経験が若い世代に受け継がれない』、『高齢者の不安を他の世代が感じ取らない』という現代日本が陥ってしまった“maze”が最も大きな問題なんじゃないかと思います。

 

若者を非難するのは、年寄りの健康に欠かせぬ要素であり、血行を良くするのにとても役立つ。(byローガン・ピアサル・スミス)

 

医療の進歩がもたらした「明」と「暗」について語られることは多いですが、高齢者医療の分野はその最たるものだと思います。平均寿命の伸びなどは、我々日本人が世界に誇るべき成果です。でも、それを単に喜んでいるだけの時代は終わりました。その裏にある「暗」の部分にも真摯に向き合う時代にきているんじゃないでしょうか。

 

飛行機は飛び立つ時より着地が難しい。人生も同じだよ。(by本田宗一郎)

 

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