Home > ブログ > Freddie MercuryとMagic Johnson -2人の運命を分けたもの-

Freddie MercuryとMagic Johnson -2人の運命を分けたもの-

表題の2人、管理人はどちらも大好きです。Freddie Mercuryは、言わずと知れた英国のロックバンド『Queen』のフロントマンです。ボーカルとギターを多重録音することによる生み出される壮大なサウンドは今聴いても斬新ですが、その個性を担っていたカリスマがFreddiです。Magic Johnson(Earvin “Magic” Johnson Jr.; MJ)は1980年代にNBAのロサンゼルス・レイカーズで活躍したスーパースターで、全く見ていない方向にボールを繰り出す“ノールック・パス”で一斉を風靡しました。

 

何故この2人のことをいきなり語りだしたかというと…キーワードは“1991年”です。この年、2人は自分がHIV感染者であることを告白しています。著名な2人のこの発表は、当時世界に大きな衝撃を与えました。しかし、この2人の告白には大きな違いがあります。それは、Freddiが発表の翌日に亡くなった(ニューモシスチス肺炎)のに対し、MJは今でも元気に活躍しているということです。80年代後半からHIV感染を噂されていたものの、それを否定して音楽活動を続けたFreddiと、健康保険に入るために調べた血液検査でたまたまHIV感染が分かったMJ ―― HIV感染症の“早期発見の大切さ”をまざまざと示した事実です。

 

今回のモーニングレクチャー『あたなの隣にHIV』で伝えたかったことは、まさにそれです。HIV感染症を“治療”するのは専門医ですが、早期に発見することにより患者様を“救う”のはその他多くの非専門医なのです

 

患者様も医療者も誤解だらけ!粘膜の接触があれば性交渉、自分が感染源なんて考えず、みな「何で自分が!?」と思う、症状がなくても感染は密かに進行する。
 性感染症の原因菌がひとつだけ相手に移る・・・なんてむしろ不自然
 HIVの累積感染者は徐々に増えているが、新規の感染者は1996年をピークに徐々に減少。先進国でも発展途上国でも同じ傾向・・・でも、日本は右肩上がり(~_~;)
 感染経路は性的接触による感染(同性間、異性間) 、母子感染(経胎盤・経産道・母乳) 、静脈注射濫用による感染、血液製剤を介した感染、職業的な曝露(針刺し事故など)による感染。
コンドーム未使用はコンドーム使用に対しての相対危険度は20倍!受け側の肛門性交の場合は100倍!(コンドーム未使用の受け側肛門性交なら2000倍!)
 母子感染は経胎盤はウイルス量を減らす、経産道は帝王切開、経母乳は人工乳により予防が可能(HIV感染者でも出産を諦めない)。
 症状は感染から3ヶ月以内の急性期、5〜10年の無症候性感染期、それ以降のエイズ期に分類される。急性期にみられる症状(Acute Retroviral Syndrome)はウイルス量増加に伴うもので、インフルエンザとの鑑別困難。無症候性感染期はだらだら続く熱、下痢、皮疹、リンパ節腫脹などの“何だかよく分からない”症状。せめてこの時点で気付きたいY(>_<、)Y
 エイズ期の症状はCD4が減少することによるもの。色々な症状があるが、ポイントは“結核と帯状疱疹はCD4の値に関係なく発症”“カンジダ食道炎とニューモシスチス肺炎はCD4が200を切ったサイン”
結核を診たらHIV、HIVを診たら結核
 日本のHIV感染率は0.013%であり、Opt-Outで検査を行なっているアメリカのようなやり方は必要ない。しかし、日本で接触者に検査をお願い出来るのは、患者さん本人だけ! アメリカよりも、医療者がみつけて積極的に検査を勧める必要あり!
 HIVに対する抗体を証明する検査にはスクリーニング検査と確認検査がある。抗体が出来るまで平均22日、3ヶ月で99%が陽性化する(window period)。HIV-RNAの検出は平均11日。
 スクリーニング検査(ELISA法、PA法)は一般に感度も特異度も高いが偽陽性・偽陰性もある(ELISA法の偽陽性率は0.3%以下)。確認検査はウエスタンブロット(WB)法、PCR法など。結果が出るまで3~7日。非常に特異度が高い。
現在の免疫力の指標とするため必ずCD4を確認。CD4は絶対値(全白血球数×リンパ球%×CD4リンパ球%)で評価する・・・というのが一般的ではあるけど、非常にぶれの多い検査なので、少なくとも一週間は間隔を空けて再度測定する。HIV-RNAは予後、治療の必要性、治療薬の選択、治療開始前のbaseline、治療効果の判定に必要。
 同時にHBV、HCV、梅毒、クラミジア、淋菌などもチェック(HIVのみが感染する性行為はないと考えるべき!)。その他、結核、サイトメガロウイルス、トキソプラズマの確認も必要。
 HIV感染症の予後は劇的に改善してきているが、ウイルス量が多いと相変わらず死亡率は高い(>30000 copies/mlで69.5%)。薬も高額で、保険を使っても一ヶ月6万円。一人あたりの治療に使われる税金は約1億円。とにかく早期発見が重要

 

日本人の奥ゆかしさから、性的な話は兎角タブー視されてきました。でも、そこを言い訳にしていい時代ではありません。Freddiが残してくれたメッセージを大切にしなきゃ・・・と、今回はちょっと感傷的になってしまいました。The Show Must Go On ――

 

Home > ブログ > Freddie MercuryとMagic Johnson -2人の運命を分けたもの-

メタ情報

Return to page top