Home > ブログ > 『めまい』=『メルクマール』?

『めまい』=『メルクマール』?

『めまい』・・・みなさんが救急外来で悩む疾患の1、2を争う主訴なんじゃないでしょうか?実際、見落としてはいけない重大な疾患も潜んでいます。患者様も色々なことを訴えられますし、治療しても効いているのか効いていないのかイマイチよく分からず・・・ほんと、困った主訴です。 この主訴、救急外来に限らず、一般外来でもしょっちゅう遭遇します。必ず押さえておきたい主訴です。

 
・「主訴はめまいです」ではダメ!必ず①回転性(vertigo)、②浮遊感(dizziness)、③失神(syncope)、④平衡障害(dysequilibrium)に分類すること(アプローチが全く異なる!)

・情報伝達経路のどこで障害されているかを考える。視覚系・前庭系・深部知覚系などの『感覚の入力』、小脳・脳幹・大脳皮質などの『統合処理』、錐体路系、錐体外路系、眼球運動中枢、自律神経中枢などの『中枢基地』、骨格筋系、外眼筋系、自律神経系などの『効果器系』

・中枢性なら脳幹性or小脳性、末梢性なら内耳性or前庭性に絞る!回転性か浮遊性か(やっぱり大切)、耳鳴(内耳性の症状だけど中枢性でも起こりえる)、難聴、神経所見、持続性か否か(中枢性は持続性が多い)、頭位・体位との関係(多くの中枢性めまいは関係なし)

・眼振は唯一の他覚所見!両側方注視眼振/凝視で抑制がかからないのが中枢性臭い所見。出来れば使いたいフレンツェル眼鏡

・蝸牛症状の難聴・耳鳴りは末梢性のめまいを示唆し、脳血管障害では出現しにくい。なぜなら蝸牛は虚血に強いから。そのため、聴覚は死の直後まで保たれるらしい。

・回転性のめまいの自覚症状が、急性に起こるときは一般に激しく、嘔気・嘔吐や冷汗などの自律神経症状を伴う。これは一般に急性の度合いを示すだけで、疾患の重篤度を示しているわけではない。

・BPPVの特徴は丸暗記!①頭位変換時のみ症状が誘発される、②持続時間が30秒~1分以内、③めまいに慣れの現象がある、④めまいが出現してくる時に潜時がある。特に②は非常に大切で、1分以内ならBPPV以外で頻度が高いのは椎骨脳底動脈循環不全ぐらいしかない!

・急に始まった回転性めまいで症状が続いているときは、前庭神経炎、水平半規管型BPPV 、小脳・脳幹の梗塞・出血などが鑑別に挙がる。絶対見逃したらダメなのは小脳出血!脳幹を圧迫して呼吸停止?!

・脳幹病変を疑う4つのサインは①突然の聴力障害、②例え軽度であっても、同時期に出現した感覚障害や運動障害の存在、③口周囲感覚障害(三叉神経核領域)、④めまいの程度から説明できない歩行障害・失調(坐位保持困難も含む)

・脳幹の前庭神経核の機能障害は回転性のめまいを訴えるので、『ぐるぐるめまい⇒末梢性⇒安全』と、短絡的に考えないように! 身体診察で必須なのは指鼻試験(視覚での補正が出来ないように)、ロンベルグ試験(陰性がヤバイ!)、片足立ち(one foot stand)、継ぎ足立ち(tandem stand、高齢者ならsemi-tandem test)、両足の開脚立ち。可能ならば立ってもらおう。

・めまいの治療は“苦し紛れ”と心得よ。でも心理的負荷により症状が変化しやすい愁訴のため、治療介入は積極的に。支持的な姿勢を忘れない。帰宅の際はゆっくり起き上がってもらおう(帰宅間際の増悪が多い)

・漢方も使ってみよう。回転性めまいに五苓散、起立性めまいに苓桂朮甘湯、身体動揺感に真武湯がお勧め。

 
めまい診療を得意とされている先生に共通していることは、『患者様の立場にたって診療出来る』ということです。他覚所見に乏しかろうが、多様な訴えだろうが、辛いものは辛い!そこに気付けるかが、“デキ医者”になれるかなれないかの分かれ目なんじゃないか・・・そんな『臨床現場のメルクマール』のような主訴です。頑張って一緒にマスターしましょうね。

Home > ブログ > 『めまい』=『メルクマール』?

メタ情報

Return to page top