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本当に必要な“医者力(イシャジカラ)”

ジェネラルマインド医師養成セミナーに行ってきました。今回の講師は神戸大学総合内科の平岡栄治先生でした。・・・素晴らしい!本当に素晴らしい先生でした。Evidence-basedでありながら、全ての考え方が「目の前にいる患者さんにとって本当に大切なことは」という考えに基づいている、本当の意味での“全人的医療”を実践されている先生です。ちょっと感動を覚えるほどの講義でしたよ。「医師にとってどんな能力が必要か」といった話もされていましたが、その話はまた別の項で。今回の講義で、非専門医の方々も知っていると得する内容を書いておきますね。

 冠動脈造影による50~70%以上の狭窄を対象とした負荷テストの感度・特異度は、トレッドミル68%・77%、負荷心筋シンチ88%・77%、ドブタミン負荷エコー76%・88%、CTアンギオグラフィー85%・90%(意外にトレッドミルが健闘しています)
 トレッドミルは負荷のステージで1:5~6METS、2:7~8METS、3:10METS、4:13~14METS(ちなみに4METSは『日常生活でいえば1階から2階まで上がる』『床の拭き掃除』ぐらい)
トレッドミルは診断だけでなく、リスクの層別化、虚血閾値、運動耐容能が分かる
 典型的な狭心痛でCTアンギオ上有意狭窄が見つかる可能性は50代男性で93%、女性で73%、60代男性で94%、女性で86%(NEJM 1979: 300: 1350, 301: 230)
 心肥大のある場合、心筋あたりの血流量は変化なく、Flow reserveを利用している。ストレス時は心筋あたりの血流量は低下し、もし狭窄病変があれば虚血になりやすい(同じ90%狭窄でも心肥大がなければ虚血は起こらないかも)
 CTアンギオは造影剤100mlを使用するため、腎機能低下時は要注意。10~15mSvの被曝(乳がん発症率上昇の可能性)。全く狭窄なしならかなり有用な情報だが、石灰化病変やステント部は狭窄をoverestimateする可能性あり(高齢者では避けた方がいいかも)。5~10秒息止めが必要なので、やっぱり高齢者では難しいかも。
 負荷心筋シンチと心臓死(%/年)の関係:正常(0~5%)なら0.4%、軽度異常(5~10%)なら1.2%、中等度~高度異常(10%~)なら3.9%・・・正常であれば冠動脈造影で狭窄があっても予後が非常にいい(JACC2005;47:722-729)
 安定狭心症(ClassⅠ~Ⅲ)に対し『PCI+適切な薬物治療』vs『適切な薬物治療』を健闘したCOURAGE trialでは、PCIにより症状は改善するものの死亡率は改善せず、短期的にMIが増加、長期的にもMIを減少させないため、『最初から全例PCIを行わず、“薬物治療を行い症状がコントロールされない時にPCI”という戦略も間違いではない』としている(ただし、EFが低下している場合は十分な検討がされておらず、現時点ではCABGまたはPCIが推奨されている)。
 ちなみにトレッドミルは自費で8000円(3割負担で2400円)、ドブタミン負荷心エコーは約1万円(約3000円)、薬物負荷心筋シンチは93750円+薬代(約3万円)、CTアンギオグラフィーは薬代込みで約32000円(約9600円)、冠動脈造影は30万円(9万円)
ニトロは便利だが、患者教育が重要。①熱に弱いので家では冷蔵、②有効なら舌がピリピリする、③有効期限あり、④血圧が少し下がるので立位での使用は禁止、⑤5分おきに2回。ダメなら受診、⑥耐性が出来るので使用しない時間をつくる
 亜硝酸剤、Caブロッカーはどれも死亡率低下は報告されておらず、あくまで症状に対する治療。βブロッカーはAMI既往患者の再発予防の報告あり。予後改善効果があるのは抗血小板薬、スタチン、ACE阻害薬、MIの既往があればβブロッカー
大切なのは運動と禁煙。少しハーハーいうが会話が出来るくらいの運動を20~30分、週に3回以上、喫煙は自分が吸う一次喫煙、副流煙を吸う二次喫煙、煙草の付着した服などの三次喫煙の禁止。禁煙したら心血管イベントが数カ月以内に減少し始め、3~5年で喫煙したことがない人と同じになる。
 安定狭心症に対しての生活指導は禁煙、アルコール<25mg/日、体重コントロール(BMI<25)、野菜・果物の摂取、運動(30分×5回/週)で、これをすべて行うと4年で40%イベントが低下する。感染症や認知症もリスクファクターになる。

実はこれで半分なんです。本当に内容の濃い講義でした。そして何より素晴らしかったのが、繰り返しになりますが、全ての話が「じゃあ、目の前の患者さんにとってどうか」というは話に集約されるところです。本当、素敵な先生はたくさんいらっしゃるんですね。すごく刺激になる勉強会でした。

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