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時には輸液の話を・・・

先日、当院で行われた指導医ランチョンセミナーで『輸液・栄養・・・これだけは』というタイトルでレクチャーをさせていただきました。研修医の先生からリクエストをいただいたのですが・・・何故自分(+o+)?!実は管理人、輸液はちょっと苦手です。もちろん、患者様に迷惑をかけない程度には理解しているつもりですが、みなさんに偉そうに話せるほどは・・・何て言ってもしょうがないので、「一般内科医が知っておくべき最低限の知識はこれですよ」と勝手に趣旨を変えてお送りします(#^.^#)

 

  • 輸液をする以前に、患者様の病態把握が第一!代償機構が働くので、“ショックかどうか”の判断は意外に難しい.特に『“hypovolemia”の有用な身体所見』は抑えておこう
  • まずはおさえておきたい“3:1の法則”(循環血液量喪失1を補うためには3倍量の細胞外液を投与すること)
  • hypovolemic shockへの初期輸液は絶対暗記!細胞外液500~1,000mlを30~60分で急速点滴静注(特に、最初の200~500mlはクレメン全開で!).単回急速静注後に血行動態の改善(血圧、心拍数、尿量など)を確認し、改善不十分なら急速静注と評価を繰り返す
  • クリティカル・ケアでは4つの相(蘇生期、安定期、利尿期、栄養期)に分けてアプローチ.蘇生期はEGDTに従い、輸液負荷±カテコラミン、安定期は輸液なしでも血管内ボリューが維持されるため、細胞外液/維持液±最少のカテコラミン、利尿期は間質・サードスペースから大量の水分が血管内に戻るため、うっ血性心不全を回避する目的で意識的に利尿を起こすように管理する
  • 輸液の目的は『水とNaの補充』とシンプルに考える
  • どこを狙って輸液をするか?細胞外ならNaの多い輸液、細胞内脱水や高Na血症の補正なら5%ブドウ糖液
  • 循環動態のコントロールがつかなくなったらサードスペースを意識.改善みられないときは「新しいイベントが起こっている?!」:①原疾患のコントロールがついていない可能性は?②気道・呼吸、循環のトラブルは?③院内感染症の合併は?④新たなイベントが起こって、第二のサードスペースが出来ている可能性は?
  • 入院患者の2〜3人に1人が低Na血症.よって低Na血症へのアプローチは必須!鑑別も出来るようにしておきましょう(“偽の低Na血症”と“水中毒”も忘れずに)
  • 忘れないでね“Mg”と“P”.Mgはエネルギー産生、貯蔵、利用、蛋白合成などに重要で、低Mg血症は低K血症との合併が多い.Pはエネルギー代謝や酸素運搬に関与し様々な症状を呈する.どちらも医原性が多い
  • 患者に害のない栄養療法を組む“Do no harm !”:蘇生期は栄養投与を行わず、急性期は“Permissive underfeeding”(過小栄養の許容)
  • 高血糖状態は作らず、目標は150mg/dL.スライディングスケールは『後追い“低血糖”+“高血糖”と乱高下するジェットコースター血糖コントロール』になるため、極力避ける
  • 低栄養状態でブドウ糖を投与する場合は注意深い経過観察が必要.常にRefeeding症候群を疑わせるような臨床症状、検査所見がないかを確認する(うっ血性心不全、電解質異常、高血糖、意識障害など)
  • 低栄養状態にブドウ糖を投与する際には①十分量のビタミンB群を投与(特にビタミンB1)、②電解質フォロー:カリウム、マグネシウム、リン、 ③体重測定とともに、In-Outバランスに中止を払う
  • カロリー摂取を目指すよりも、まずは蛋白投与を意識する.最低1g/kg/日をクリアできるように
  • 少量でもいいから可能な限り腸管を使おう.でも「じゃ、胃瘻」と短絡的に考えない(良いアウトカムをもたらした、というエビデンスなし)

 

決して楽しい話ではありませんが、知らないとマズイ内容ばかりです。恐らく知らないことで『医原性○○』を作ってしまう可能性大です。この落とし穴、年次が行くほど気付きにくくなっていきます。研修中にこそ地道に、地道に、地道〜に頑張りましょうね(^^♪

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