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知ってて当然(+o+)?狭心症のあれこれ

53歳 男性 前胸部の絞扼感

高血圧の既往あり。1~2年前から出勤時名古屋駅の階段を上っているときに胸の中央に締め付けられるような感じが出現。立ち止まって休んでいると2~3分で症状は消失し、その後は嘘みたいに楽になる。エスカレータを使えば何の症状もない。週末や夜中に発作は起きない。こういったことが年に3~4回あるが、増悪はしていない。

典型的な狭心症ですよね。これ、18世紀の報告を現代風にアレンジしただけです。英国の医師William Heberden (1710-1801)が、1768年に狭心症の症状を報告しており、これが最古の狭心症の正式な報告なのだそうです。

ž   胸の真ん中で

ž   手のひら(面積として感じる)

ž   分単位(最低1分、長くても15~20分)

ž   痛みではなく、胸部の絞扼感

ž   発作が落ち着くと嘘みたいに楽になる

 

この記述は素晴らしく、240年たった今でもこれ以上の報告はないと言われています。この症状がそろっていたら、迷わずに循環器専門医をコンサルトしますよね。でも、そうじゃないから困る訳です(~_~;)ここでは不安定狭心症(Unstable angina;UA)/非ST部分上昇型心筋梗塞(Non-ST Segment Elevation Myocardial Infarction;NSTEMI)について書きます。大切なポイントは4つ。①狭心症かどうか、②不安定型かST非上昇型の心筋梗塞か、③ハイリスクか、④保存的療法でいくか、早期血行再建術を行うかです。

・約半数が女性(STEMIとの大きな違い)

80%はリスクのある患者

 <リスク因子> 

 ✩病歴:70歳以上、糖尿病、陳旧性心筋梗塞、末梢動脈性疾患、脳血管障害の既往

 ✩臨床像:BraunwaldⅡBかⅢB、心不全と低血圧、24時間以内の狭心症発作

 ✩心電図:ST低下は0.05mV 、T波陰転化(>0.3mV)、左脚ブロック

 ✩Cardiac marker:Tn・CK-MB↑、CRP・WBC↑、BNP↑、Cr↑、血糖・HbA1c↑

 ✩血管造影:血栓、多肢病変、左室機能障害

・虚血範囲が大きければ冷汗、頻脈、Ⅲ音、肺底部ラ音、低血圧・・・でも、実際には所見がみられないことも多い

・短期死亡率はUAで1.7%、STEMI/NSTEMIは5.1%.でも、長期予後はUA/NSTEMIの方がSTEMIより不良

Braunwald分類は現在最も有用と言われている分類です(Circulation 102: 118-122,2000.)。ポイントは最後の発作はいつ起きたかです。新規ないし増悪型だが安静時には起きないものを(Ⅰ)、安静型で48時間以上(Ⅱ)か、安静型で48時間以内(Ⅲ)かに分け、それが発熱や貧血などにより二次的に起こったものを(A)、誘引のないものを(B)、急性心筋梗塞発症2週間以内を(C)として、ⅢBもしくはC以上を緊急カテーテルの適応としています。つまり、来院時無症状で心電図が正常、トロポニン陰性でも全く安心してはならないってことです!

ちなみに、一般市民レベルではトロポニンの軽度上昇(0.1~0.3ng/ml)は糖尿病、慢性腎障害、潜在的な心不全、左室肥大で認められます。そのため、0.3ng/ml以上をACSと考えるのが無難です。また、発症から最低3時間までは血中濃度が上昇しないことも要注意。かならず4~6時間おいて再検査。また心筋炎や肺塞栓症でも偽陽性になります。

以下の程度の治療は、非専門医でも抑えておきたいところです。

・まずは塩酸モルヒネ1~4mg(やっぱりMONA!

・ニトロ舌下.3回使ってダメなら静注(10μ/分より)

・いろいろな意見があるけど、長期予後を考えるとβブロッカーは禁忌がない限り投与する (βブロッカー禁忌ならCa拮抗薬)

・アスピリンを初期投与量162mg、維持量81mg(バイアスピリンは腸溶剤なので不可

・Clopidogrel(プラビックス)を初期量300mg、維持量75mg

・ヘパリンは初期60単位/kg、維持12単位/kg/時間、目標aPTT60~70秒、最低48時間、最大8日まで投与する。ワーファリンを引き続き追加する患者は心房細動、心室粗動および左室血栓。

・維持期はACE-I+βブロッカー+アスピリン+スタチン(世界の標準治療!)

βブロッカーは冠攣縮性狭心症の多い本邦では慎重投与の意見が多いです。特に喫煙者の若い男性では、発症のメカニズムが判明するまでは投与しない方が安全と言われています。投与の仕方はstart low, go slow。また、Clopidogrelは心筋梗塞、脳卒中、死亡がアスピリン単独に比べ低下すると報告されています。 

循環器領域の知識は、知らないと患者様の予後に直結するものばかりです。エビデンスも日進月歩ですし、振り落とされないようについていきましょう)^o^(

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