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VS “モンスター”

日経メディカルオンラインで「私だって重症だ!何で後回しにする!」というブログが載っていました。いわゆる“モンスターペイシェント”のお話です。このブログを読んでいただいている先生方の中にも、きっとこういった“モンペイ”(←“モンハン風”に略してみました(^v^))に出会ったことがある方も大勢いらっしゃると思います。

 

おそらく、一昔前にも問題になる患者様はいたハズです。ただ、それが社会的な問題として扱われたことはあまりなかったようです。何故なら、以前の医師-患者関係は強い『パターナリズム』のもとに成り立っていたからです。paterとはラテン語で“父”を意味し、「父である医者の言うことは絶対!」といった考え方です。この考え方は、医療現場ではまだ根強く存在していますし、患者様(特にご高齢の方)の中には『パターナリズムから得られる安心感』を求めて病院を受診される方もいらっしゃいます。ただ、現状でこの考え方が『悪しき時代の負の遺産』ととられているのは事実です。・・・本当にそうでしょうか?

 

医療現場に関らず、現代はテレビやインターネットの影響(医者よりもネットの書き込みや、み○もんた、ビー○たけしの方が偉い時代です)、弁護士を始めとした法曹人口の増加など、「気に入らなければ訴える!」といった乱暴な考え方が受け入れられやすい土壌があります。1990年代以降、世界的なグローバリゼーションによる競争激化や新自由主義の蔓延により、「(正しかろうが間違っていようが)これが正解!」という“正確性”がなくなりました。2000年代に入り、“「感動した!」総理大臣”による規制緩和や民営化の結果、『自己責任』という名の“何でもアリ”な風潮が一般化したことも影響しているんじゃないか・・・別に社会風刺ではないですよ(^_^;)

 

また、医師法第19条に記されている『応召義務』の存在も大きいと思います。医療者側に診療拒否権がないことを盾にとられると、我々も毅然とした対応をとりにくくなってしまいます。残念ながら、そこにつけ込む“モンペイ”が大勢いることは事実です。「どれだけ待たせるんだ!」「専門の医者を出せ!」「死んだのはお前のせいだ!」「こんな状態で退院なんて殺す気か!」「こんな検査の金は払わん!」・・・自分の生活も体力も犠牲にして「患者様のために!」と頑張っている医者にとって、これほど辛いことはありません。正直、管理人も何度か心が折れそうになったことがあります(*_*;

 

そうは言っても、“モンペイ”は襲ってきます(失礼!)。どう対応したらいいんでしょう。キーワードは“静かに傾聴”“可能な限り気持ちを共感”“話を遮らない”“毅然とした態度”“ダメなら組織戦”“それでも駄目なら警察”です。相手の土俵に立って同じようにいきり立ったり、話を途中で遮って正論を述べるのは禁忌。謝罪は有効ですが、共感の上にたって「お気持ちは十分に分かりました。そのような状況に十分配慮できずに申し訳ありませんでした。」と伝えることをお勧めします。落ち度がないのにただ謝罪だけでは、こちらに非があると言っているようなものですから。それでも駄目なら組織戦です。院内のクレーム対応について、あらかじめ確認しておくといいでしょう。出来れば警察の登場はご遠慮願いたいところですが、暴力行為などがある場合は仕方がありません。でも、管理人の一番のお勧めは・・・ゆっくり深呼吸して下さい。そして、病気になって不安になっている患者様や家族の立場を想像してみて下さい。そこでもう一回大きく深呼吸して、改めて“モンペイ”の話に耳を傾けると、目の前の“モンペイ”が普通の“患者様”になる・・・かも(^^ゞ

 

『パターナリズム』には弊害もたくさんありますので、その時代に戻るのもナンセンスです。でも、『医療はサービス業』という考え方だけが先行してしまうと、さらに“モンペイ”は増殖してしまうことは間違いありません。個人的には“paternalism with sympathy”(共感を伴ったパターナリズム)が最も理想的なんじゃないかと思います。みなさんはどう思われますか?

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