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『夜』と戦う! -尿路結石の落とし穴-

本日もAカンファに沢山参加していただき有難うございます。“『夜』と戦う”なんて訳の分からないタイトルだったので心配だったのですが・・・皆さんのやる気に救われました。 ちょっと欲張りすぎてお腹いっぱいになっちゃたかもしれませんね (^^ゞ

 

救急外来のトラブルパターンについては、『The M & M Files (2007)』に書いてあります。

①    致命的あるいは予後不良となる急病、外傷の患者が、

②    非典型的か軽微な症状で受診し、

③    医師が訓練不足だったために知識がなかったか、疲弊していたため見抜くことができず、適切な応急処置や転送の判断が下せず、

④    患者や家族が納得していない状態で帰宅させた場合

このうち、①の患者様が来院されるのは防ぎようがありませんし、③に関しては訓練するしかありません。今すぐできることは、②のパターンを少しでも覚え、④が起こらないよう、必要十分な説明を行うことでしょう。今回のレクチャーも、その点を意識して説明したつもりですが・・・伝わりましたか?

 

さて、すべての疾患について触れることは出来ませんので、今回は『尿路結石』について。

 

  • ž   明け方に多いのは尿が濃縮する時間で発症のピークはam4:32⇒尿の濃縮力が低下している50歳以上で初発の尿路結石を疑ったときは「?」と思う必要あり!
  • ž   半数以上は悪心・嘔吐を伴う(尿管→腹腔神経叢や迷走神経叢まで刺激してしまう)⇒ 消化器疾患と間違えないように!
  • ž   大切なのは『既往歴』:既往歴ありの再発率:1年以内15%、5年以内35~40%、10年以内50%⇒初発の場合は要注意!CTも考慮
  • ž   除外診断命!腹部大動脈瘤腎梗塞、胆道系疾患、虫垂炎、精巣捻転、婦人科疾患(卵巣茎捻転子宮外妊娠)⇒特に『高齢者+高血圧+尿路結石疑い』の場合は、必ず腹部大動脈瘤を除外!(カルテには必ず「腹部大動脈瘤は除外済み」と記載しておくこと)
  • ž   CVA knock painは①まずは左指2~3本置いて、その上からこぶしで優しくトントン叩く、②次は左掌を当てて、その上からこぶしで叩く、③最後にこぶしで直接叩く(特異度の高い手技から感度の高い手技へ)
  • ž   尿検査を除外診断に使わないこと!発症初日なら感度は95%だが、3~4日すると65~68%まで低下する(最終的に尿路結石の診断がつく10~30%は尿潜血(-)、尿路結石を疑い最終的に診断が違っていても52%は尿潜血(+)というデータあり)。でも感染合併の有無をチェックするため必ず提出すること
  • ž   エコーは感度85~98%、特異度95~97%(石そのものは見えないことが多い)、KUBは感度45~59%、特異度71~77%(使えねぇ)、IVPは感度64~87%、特異度92~94%(閉塞部位が分かるしCTより安い)、CTは感度95~100%、特異度94~96%
  • ž   結石らしい痛み+エコーで水腎症→感度はほぼ100%(ただし、なくても否定できない)⇒①まずエコーとKUB(感度77%、特異度93%)、②みつからなければCTを
  • ž   徐痛は積極的に。1st:ボルタレンR(50mg)(病態のメインは炎症だから)、2nd:ペンタゾシン(ソセゴンR
  • ž   抗コリン薬(ブスコパンR)は尿管がダラーン→尿が停滞→石が出来やすくなるのでダメ。輸液をジャンジャンしても尿管内圧が上がるだけで意味なし
  • ž   4mm以下の石は1~2週間で約80%が自然に排石される。5mm以上は出たり出なかったり。すぐ泌尿器科コンサルトが必要なのは敗血症、無尿、腎不全など。
  • ž   その他:十分な水分摂取(2L/日以上で再発率↓)、塩分は控えめ(尿が濃縮するから)、動物性蛋白は控えめ(乳製品はOK)

 

繰り返しになりますが、尿路結石はとにかく除外診断命!非典型的な経過もしっかり覚えて、しっかりした経過説明を行い、緊急性の高い疾患の可能性に言及し・・・て、言うは安しですが(^_^;)

 

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