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『せん妄』を制するモノは・・・

患者様、特に高齢の患者様の入院からの数日間は、ちょっとした緊張期間です。結構な確率で「ワー\(◎o◎)/!」となられます。いわゆる『せん妄』です。ま、入院や手術などをきっかけにして起こるものは「『せん妄』が起こったんだな」と思えるからまだいいのですが、中には「何か最近○×さんボケちゃったね〜」なんて呑気に(?)構えられちゃうこともあります。以前「『咳』を制するモノは冬の救急を制する」みたいなことを書いたことがありますが、「『せん妄』を制するモノは病棟を制する」と言えるかもしれません。今回のAカンファでは『せん妄』と間違えられがちな『認知症』も一緒に扱います。

 

  • せん妄のポイントは『急速』+『変動』:意識レベルの低下と、意識を集中・転換・保持することが困難で、認知症ではうまく説明できない認知機能の変化(言語、記憶、見当識、知覚の欠落)。症状は急速に生じ(数時間から数日)、その日の間でも変化する傾向にある
  • 発症予測因子の確認が必要。特に重要なのは①視覚障害、②重症疾患、③認知障害、④BUN/Cre解離
  • せん妄の裏には必ず何か疾患が潜んでいると考えること!
  • せん妄の原因は無限大!特に多いのは脱水電解質異常(特にナトリウム異常)敗血症心不全薬物アルコール離脱など
  • せん妄患者にどこまで検査をするか?神経画像:局所神経所見を伴う、または脳血管イベントの疑いが極めて高いときにのみ必要/脳波:他の原因がなく、患者に痙攣の危険因子があるか異常眼球運動がある場合にのみ必要/腰椎穿刺:他の原因がない発熱が見られる患者、または中枢神経感染症の疑いがある場合に必要
  • アルコール離脱せん妄は起こるとマズイ!特に振戦を伴う場合の死亡率は15%!依存の度合いは『CAGEスコア』でスクリーニングしておこう
  • ICU症候群は予防が命!しっかりした説明(しかも繰り返し)、日内リズム・睡眠の確保、可能ならば面会許可、プライバシーの確保など
  • せん妄への薬物投与:第一選択薬はリスペリドン.副作用に錐体外路症状、脳血管障害.糖尿病には慎重投与.リスペリドンで覚醒困難なら、半減期の短いペロスピロンを選択。興奮を伴う急性期の場合は抗ヒスタミン作用のあるオランザピン(抗コリン作用に注意.糖尿病には禁忌).オランザピンで過鎮静になるなら半減期の短いクエチアピン
  • 認知症は何を置いても治療可能な認知症(treatable dementia)の除外!中枢神経感染症甲状腺機能低下症ビタミンB12欠乏、中枢神経腫瘤(腫瘍、硬膜下血腫)、正常圧水頭症薬剤→血算、基本的代謝検査と肝機能検査、TSH、Ca、ビタミンB12、迅速血漿レアギンをオーダー
  • アルツハイマー型認知症の神経細胞の変性は内嗅皮質・海馬などの側頭葉内側から始まり、進行とともに側頭・頭頂連合野に広がる→この経過に一致してまず記憶・記銘力障害が出現、続いて視空間認知障害構成障害語健忘などが出現する(約10年の経過)
  • 妄想、不安、抑欝、昼夜逆転、徘徊、せん妄などはBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)と呼ばれ、患者および介護者の生活に大きな影響をあたえる
  • 脳血管性認知症には大梗塞・重大部位の梗塞による認知症、多発梗塞性認知症、Binswanger型認知症、境界領域梗塞による認知症がある.特に、血管系のリスクのある患者で認知機能の「階段状の増悪」をみるときは常に多発梗塞性認知症を考える
  • レビー小体型認知症(DLB)は幻視、認知の変動、パーキンソニズムが中核症状でありADよりも進行が早い

 

『せん妄』の原因は無限大なんで、「『せん妄』を制するモノは病棟を制する」・・・っていう、ちょっと反則なlogicでした(^^ゞ でも、本当にアプローチは大切ですから、是非覚えておいて下さいね。

 

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