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感染症診療とプライマリケア医

ウガンダでエボラ出血熱が猛威を奮っています(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120806-00000026-jij_afp-int)。感染疑いの囚人が病院から脱走したことにより、さらなる感染拡大が懸念されているようです。この病気の原因であるエボラウイルスは1977年に発見されたWHOの指定する『新興感染症』です。『新興感染症』なんていうとエボラ出血熱以外にラッサ熱(1969)など日本とは縁遠い話のように感じますが、実はロタウイルス(1973)、レジオネラ・ニューモフィリア(1976)、カンピロバクター・ジュジュニ(1977)、A群β溶連菌(1978)、ヘリコバクター・ピロリ(1983)、クロストリジウム・ディフィシレ(1990)など、今日の臨床では当たり前のように取り扱っている病原体も、『新興感染症』なんです。感染症の世界の世代交代は目まぐるしいものがあります。

 

 

思い返せば、2009年1月に東京都町田市のサナトリウムで起こったインフルエンザ集団感染は記憶に新しいところです。この年、WHO(世界保健機構)はインフルエンザパンデミックに対して最大警告であるフェーズ6を発表しています。また、2007年に関東地方で10代~20代の若者に起こり、高校73校、高専4校、短大8校、大学83校が休校し、高校・高専・短大・大学のみで1657人の患者が発生した麻疹の大流行も当時は話題になりました。それ以外にも2002年末〜2003年にかけて中国を中心に大騒ぎになったSARS(重症呼吸器症候群)、2003年インドの東南部、アンドラ・プラデシュ州で見つかったチャンディプラ・ウイルス脳炎、2004年に再度感染の拡大が報告された鳥インフルエンザなどなど「新たな感染症!」、「人類に忍び寄る恐怖!」は、実は毎年のように現れているんです

 

それに対する人類の戦い方は意外にワンパターンです。つまり①発生状況の把握②感染拡大の防止③医療処置の3つです。①は情報収集、つまり『戦う相手を知る作業』です。宿主はだれか?何が媒介しているのか?潜伏期は?感染経路は?などなど。②は手洗い、うがい、マスク、消毒、患者隔離などです。③には発症後の治療はもちろんですが、ワクチンの開発なども含まれます。もちろんどれも大切な行程ですが、最も大切なことは②の『感染拡大の防止』だと思います。でも、前述の麻疹流行では、学校を閉鎖し学生さん達を帰郷させた結果、感染者が全国に散らばり、麻疹流行が全国規模になってしまいました。つまり、良かれと思って行われた対応が、本来感染拡大の防止における最も大切な“封じ込め”と正反対の対応となってしまった訳です。マスコミ報道の混乱ぶりからも、日本の感染症に対するモロさを改めて感じる事例です。

 

何か話が大きくなりすぎて、訳がわからなくなってしまいましたので、話をプライマリケアに戻します(^^ゞ ただ、話を戻しても結局基本は一緒。①発症状況の把握②感染拡大の防止③医療処置です。つまり、①厚生労働省感染症情報センターのホームページからの正確な情報収集(プロである我々がマスコミの過熱報道に惑わされないこと!)、②手洗い・うがい・マスクの指導、必要に応じて患者様の隔離の指示(届出義務のある疾患を確認しましょう)、③ワクチンの推奨、適切な感染症マネージメント(不必要な抗菌薬投与を控える勇気!)です。プライマリケア医のレベルが、その国の感染症診療のレベルに繋がるのです。みんなで頑張りましょう(^O^)

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